ミゾフラスコモ Nitella oligospira Braun シャジクモ科 フラスコモ属
水生植物 > 淡水藻類    絶滅危惧T類(CR+EN)
Fig.1 (兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)

溜池や水田などに生育する輪藻類。
雌雄同株。藻体は長さ20cmまで。サキボソフラスコモよりも小さく、かつ細い。
結実枝と不結実枝の分化はない。小枝は2〜3回分枝し、最終枝はときに短縮し、つねに2細胞からなる。
終端細胞は著しく細くて爪状についていることもあるが、すぐ下の細胞がしだいに細くなり終端細胞と同じ太さで続いていることも少なくない。
性器は小枝の各節につき、雌器はふつう単生し、長さ330〜400μ、幅250〜310μ、らせんは8本。
卵胞子は長さ300〜330μ、幅230〜280μあり、らせん縁は明瞭で6本見られる。
卵胞子膜上には網目状の模様がある。雄器の直径は230〜300μ。

サキボソフラスコモN. mucronata)はミゾフラスコモより大型となり、不結実枝と結実枝は分化し、最終枝は2〜3細胞。本州〜九州。
キヌフラスコモN. gracilens)は主に中部山岳の湖沼に見られ、最終枝は2〜3細胞、卵胞子のらせん縁は4〜5個。
近似種 : サキボソフラスコモ、 キヌフラスコモ
■分布:本州、四国、九州 ・ アジア、北米、中米、南米、オーストラリア
■生育環境:溜池、水田など。
■卵胞子成熟期:9〜11月
■西宮市内での分布:市内では確認していない。

Fig.2 全草標本。(兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)
  雌雄同株。藻体は長さ20cmまで。サキボソフラスコモよりも小さく、かつ細い。

Fig.3 藻体の中〜上部。(兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)
  結実枝と不結実枝の分化は見られない。主軸や輪生枝は細く、全体に繊細に見える。

Fig.4 最終枝。(兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)   最終枝はときに短縮し、つねに2細胞からなる。

Fig.5 終端細胞。(兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)
  終端細胞は著しく細くて爪状についていることもあるが、すぐ下の細胞がしだいに細くなり終端細胞と同じ太さで続いていることも少なくない。

Fig.6 性器は輪生枝の各節につく。(兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)

Fig.7 雄器。(兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)
  雄器は球形、直径は230〜300μ。

Fig.8 雌器。(兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)
  雌器は単生ごく稀に双生し、長さ330〜400μ、幅250〜310μ、らせんは8本。

Fig.9 卵胞子。(兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)
  卵胞子は長さ300〜330μ、幅230〜280μあり、らせん縁は明瞭で6本見られる。

Fig.10 卵胞子表面。(兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)
  卵胞子膜上には網目状の模様がある。

Fig.11 透過光で見た卵胞子膜表面。(兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)

他地域での生育環境と生態
Fig.12 貧栄養な溜池に生育するミゾフラスコモ。(兵庫県丹波地方・溜池 2014.10/22)
山間の貧栄養な溜池の余水吐の浅い場所にシャジクモとともに点在していた。
溜池にはフトヒルムシロ、タヌキモが、池畔にはノハナショウブが生育している。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
廣瀬弘幸・山岸高旺, 1997. シャジクモ科フラスコモ属. 『日本淡水藻類図鑑』 780〜829. 内田老鶴圃
須賀瑛文, 2001. 輪藻類. 浜島繁隆・土山ふみ・近藤繁生・益田芳樹編著 『ため池の自然』 81〜101. 信山社サイテック
笠井文絵・石本美和, 2011. 『しゃじくもフィールドガイド』 pp.17. 独立行政法人国立環境研究所
兵庫県, 2010 1 植物(3)藻類@淡水藻類. 『兵庫の貴重な自然 兵庫県版レッドデータブック2010(植物・植物群落)』 170〜175. (財)ひょうご環境創造協会

最終更新日:27th.Oct.2014

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