アオハイゴケ | Rhynchostegium riparioides (Hedw.) Card. | アオギヌゴケ科 カヤゴケ属 |
湿生〜抽水蘚類 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・湧水泉 2013.1/27) |
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Fig.2 (西宮市・水路壁面の水中 2015.2/12) 渓流畔の岩上、湧水地、水路壁面などの水際付近に暗緑色の大きな群落をつくる、大型の蘚類。 急流近くや水中では古い葉を失って、硬い茎だけが残ることがある。 茎葉は卵形〜広卵形で、先は広くとがるか鈍頭、長さ1.5〜2.5mm。葉縁の全周に小さな鋸歯が並ぶ。 中肋は緑色で、葉長の2/3〜3/4に終わるが、先端に刺はない。枝葉は茎葉に似て小型。 葉身細胞は長い楕円形〜線形で幅6〜10μ。剳ソは赤褐色で平滑。凾ヘ傾き、非相称。蓋には嘴がある。剋浮ヘ2列で完全。 同属のコカヤゴケ(R. pallidifolium)は外形がサナダゴケに似て、葉は狭卵形〜卵状披針形で、先はながく尖る。 近似種 : コカヤゴケ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 北半球に広く分布。 ■生育環境:湿地や休耕田、用水路、湿った草の上など。 ■西宮市内での分布:市内では北部の水路壁面などで見かける。 |
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↑Fig.3 全草標本。(兵庫県篠山市・湧水泉 2013.1/27) 茎はこの場所のものは4〜6cmほどで、透明感があり、不規則に分枝している。 |
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↑Fig.4 茎の拡大。(兵庫県篠山市・湧水泉 2013.1/27) 茎葉は茎にやや密に螺旋状についている。 |
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↑Fig.5 茎葉。(兵庫県篠山市・湧水泉 2013.1/27) 茎葉は卵形〜広卵形で、先は広くとがるか鈍頭、長さ1.5〜2.5mm。中央はやや舟状に凹むが、カバーグラスを乗せても裂けにくい。 中肋は葉長の2/3〜3/4に終わるが、先端に刺はない。 |
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↑Fig.6 葉の全周には小さな鋸歯が並ぶ。(兵庫県篠山市・水路 2014.3/4) |
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↑Fig.7 枝葉。(兵庫県篠山市・水路 2015.2/4) 枝葉は茎葉に似て小型で、長さ1.2〜1.8mm。やはり全周に小さな鋸歯がある。基部両側には明瞭な翼細胞が並ぶ一角がある。 |
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↑Fig.8 葉身細胞。(兵庫県篠山市・水路 2015.2/4) 1目盛は1.6μ。葉身細胞は長い楕円形〜線形で幅6〜10μ、長さ28〜70μ、葉縁のものは短くなる。 |
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↑Fig.9 翼細胞。(兵庫県篠山市・水路 2015.2/4) 翼細胞は長い方形で、大きなものは70μを越える。 |
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↑Fig.10 凵B(兵庫県篠山市・湧水泉 2013.1/27) 剳ソは赤褐色で平滑。凾ヘ傾き、非相称。 |
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↑Fig.11 凾フ拡大。剋浮ヘ2列で完全。(兵庫県篠山市・湧水泉 2013.1/27) |
西宮市内での生育環境と生態 |
Fig.12 疎水の水際に生育するアオハイゴケ。(西宮市・疎水 2015.2/12) 渓流から水を引いた疎水の水際に点在していた。 同所的にジャゴケ、フジウロコゴケ、トサホラゴケモドキ、ナガサキホウオウゴケなどが生育し、水路内ではヒロハツボミゴケ、 ホソバミズゼニゴケ、ホソホウオウゴケなどが生育している。 |
他地域での生育環境と生態 |
Fig.13 水路内に群生したアオハイゴケ。(兵庫県篠山市・水路 2015.2/4) 集落内を流れる湧水の流入もある水路内にマット状に群生している。 茎と枝を長く伸ばし、一見するとよく見かけるような水路壁面に見られるものとは別種かと思われた。 水路内には湧水環境に見られるチャイロカワモズク、コウキクサのほか、ヤナギゴケ、ヤノネゴケらしき蘚類、カモジグサsp.、 スズメノテッポウ、枯れたヤナギタデ、アカバナなどが見られた。 |
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Fig.14 渓流畔の岩上に生育するアオハイゴケ。(兵庫県篠山市・渓流畔 2013.2/7) 低山から流れ出た小渓流の岩上に生育していた。 周辺は高湿度で小湿地状となっており、チャルメルソウ、オタカラコウ、オオチドメ、オオバタネツケバナが生育し、ジャゴケ、ツクシナギゴケ、 ツルチョウチンゴケ、トヤマシノブゴケが陸生し、流水中にはケチョウチンゴケ、フジウロコゴケが生育していた。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 岩槻善之助, 1972. アオギヌゴケ科. 岩槻善之助・水谷正美『原色日本蘚苔類図鑑』 p.212〜223. pl.30. Figs.108〜116. 保育社 最終更新日:12th.Mar.2015 |