イヌドクサ Equisetum ramosissimum  Desf. トクサ科 トクサ属
湿生植物
Fig.1 (西宮市・武庫川河川敷 2007.8/9)

Fig.2 (兵庫県宝塚市・河川敷 2010.6/11)

日当たりのよい水湿地、河川敷や堤防に生育する常緑のシダ植物で多年生。
よく植栽されるトクサよりも茎は3〜5mmと細く、時に分枝し、茎の下部の節から輪生する枝を出す。
トクサは分枝せず輪生枝もあまり出さないので区別は容易。
地下茎は黒色で長く地中を横走し、先端部で分枝して多数の地上茎を立ち上げる。
地上茎は明緑色で、長さ30〜100cm、径3〜5mm、8〜15個の縦溝があり、長いものは倒れ込む
自生地では根茎を伸ばしてまばらに群生することが多く、ツクシに似た長さ1〜2cmの胞子嚢穂をふつう茎の先端部につける。
胞子嚢穂ははじめは緑褐色であるが、成熟すると淡褐色〜黄色となる。
節に見られる葉鞘は緑色で、歯片は膜質で茶褐色。黒化するヒメドクサと区別される。
近似種 : トクサ、スギナ

■分布:本州、四国、九州、沖縄
■生育環境:河川敷、堤防など。
■花期:4〜7月
■西宮市内での分布:武庫川水系の河川敷や堤防、北部の棚田の土手など。特に有馬川と武庫川河川敷に多い。
              兵庫県下では南部に記録が偏っており、丹波・但馬地方からの記録はない。

Fig.3 地上部標本。(西宮市・棚田の土手 2010.6/24)
  地下部にある地下茎は土中のかなり深い場所にあり、掘り上げることができなかった。
  地上茎は細く、径3〜5mmで、中部以下で節から輪生する枝を出すことも多い。

Fig.4 未熟な胞子嚢穂。(西宮市・林縁の湿地 2003.7/24)

Fig.5 成熟した胞子嚢穂。(西宮市・棚田の土手 2010.6/24)
  ツクシの胞子嚢穂と同様の構造。6角形の傘の下に胞子嚢が並び、胞子を放出するにつれて傘は上を向く。

Fig.6 茎と輪生枝。(西宮市・棚田の土手 2010.6/24)
  茎には縦溝が顕著。枝は主茎の節から出て、輪生し、節には葉鞘がつく。
  葉鞘は緑色、縁は歯牙片となり膜質で褐色を帯びる。

Fig.7 春先のイヌドクサの芽生え。(西宮市・武庫川河川敷 2009.3/29)
  芽生えて間もない頃は、茎は赤味を帯び、先端部に突起を生ずることが多い。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.8 河川敷の広い面積にわたって群生するイヌドクサ。(西宮市・武庫川河川敷 2007.8/9)
すぐ近くにサンカクイの群生が見られるが、イヌドクサはサンカクイよりも増水時に水を被らないような高所の砂礫地を好むようだ。

Fig.9 河川の堤防で群生するイヌドクサ。(西宮市・河川堤防 2007.10/18)
堤防のような乾燥した場所にも多いが、湿地に生えるもののほうが胞子嚢穂をつくりやすいように思われる。
この点に関しては、さらに観察を続けたい。

Fig.10 造成された駐車場脇に生育するイヌドクサ。(西宮市・造成地 2008.6/24)
以前は放置された造成地で、イヌドクサが繁茂していた。客土されて駐車場となったが、根茎を横走させる植物の強みか、
端から沢山の茎を立ち上げていた。

Fig.11 棚田の土手に群生するイヌドクサ。(西宮市・棚田の土手 2010.6/24)
刈り込まれたネザサ、チガヤを主体とする棚田上部の土手の一画にイヌドクサが群生していた。
同所的にコナスビ、キツネノマゴ、ツリガネニンジン、ノアザミ、ウツボグサなどが多くみられた。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
光田重幸, 1986. イヌドクサ. 『しだの図鑑』 pls.30. p.32. 保育社
牧野富太郎, 1961 イヌドクサ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 7. 北隆館
佐々木あや子. 2001. トクサ科トクサ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 21〜22. 神奈川県立生命の星・地球博物館
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. イヌドクサ. 『六甲山地の植物誌』 84. (財)神戸市公園緑化協会
白岩卓巳・鈴木武 1999. イヌドクサ. 兵庫県産維管束植物1 トクサ科. 人と自然10:78. 兵庫県立・人と自然の博物館

最終更新日:27th.Jan.2011

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