水田、用水路、中栄養〜富栄養な湿地、溜池畔、河川敷、路傍、側溝、草地などいたるところに生育する1年草。
茎は基部近くから分枝し、高さ60〜120cm。基部はやや赤味を帯びる。葉は長さ20〜50cm、幅4〜15mm、葉舌はない。
花序は茎の頂部につき、長さ10〜25cm、淡緑色または紫褐色の小穂を斜上する花序枝に隙間無くつけ、ときに先が垂れる。
小穂は長さ3〜4mm、2小花からなり、下方の小花は退化して護頴（第3頴）のみとなり、上方の小花は両性小花で、雄蕊3個、雌蕊1個を包む。
小穂は卵形で剛毛があり、ときに直立する長い芒があり、第1苞頴は小さく、小穂の1/3以下で鈍頭。
芒の特に長いものをケイヌビエ（var. echinata）とすることがあるが、芒の長さの変異には連続性があり、生態もイヌビエと変わりない。
ヒメイヌビエ（var. praticola）は乾燥した草地などに生育し、イヌビエよりも草体、小穂ともに小型化したもの。小穂は2.2〜3mm、第1苞頴は小さく、鈍3角形。
ヒメタイヌビエ（var. formosensis）は水田に生え、茎が基部から直立し、明るい緑色で、葉縁は白く肥厚する。小穂に長い芒はなく、第1苞頴は小さく鈍3角形。
タイヌビエ（E. oryzicola）は水田に生え、水稲とほぼ同時期に出穂し、直立性で、葉縁は白く肥厚。第1苞頴は小穂の1/2以上あって、鋭3角形。
第1小花の護頴はふくらんで光沢がある。
コヒメビエ（E. colonum）は熱帯〜亜熱帯に生育するが、分布域を北上させつつある。小穂は2.5〜2.6mm、第1苞頴は小穂のおよそ1/2長。
第1小花の護穎は光沢がなくやや凹む。花序の幅は狭く、果時にも直立して、花序枝には小穂が4列につく。
■分布：本州、四国、九州、沖縄、小笠原 ・ 世界の熱帯〜暖帯
■生育環境：水田や湿地、河川敷、道端や草地などいたるところ。
■花期：8〜10月
■西宮市内での分布：全域に普通。
成熟した花序は重みでしなり、ときに先は垂れる。
花序枝は花序中軸の節に単生する。画像は花序枝展開前の姿で、展開すると花序枝は斜上する。
花序枝は有毛で、基部から先まで小穂を隙間無くつける。小穂の芒は不定で、芒を持たないものもある。
葉身の表面はほぼ平滑。葉縁には上向きの硬い短毛が並びざらつく。
