ハハコグサ Gnaphalium affine  D.Don キク科 ハハコグサ属
湿生植物

Fig.1 (西宮市・休耕田 2010.5/13)

耕起前の水田、休耕田、溜池畔、畑地、道ばたなどの日当たりのよい湿った場所に生育する越年草。
春の七草のひとつで、朝鮮半島から渡来した史前帰化種とみなされている。
茎は叢生し、高さ15〜40cm。葉は倒披針形で長さ2〜6cm、両面が密に綿毛に被われている。
頭花の総苞は球鐘形で、長さ3mm、片は3列で淡黄色。雌花は糸状、両性花は筒状で、ともに結実する。
痩果は長さ0.5mm、冠毛は黄白色で長さ2.2mm。

よく似たものに外来種のセイタカハハコグサG. luteoalbum)があり、市内の海浜部から記録がある。
初夏に開花し、花序の柄が長く、総苞が褐色を帯び、茎葉は基部近くで最も幅広くなる。
近似種 : セイタカハハコグサ、チチコグサ

■分布:日本全土 ・ 東アジア
■生育環境:湿耕起前の水田、休耕田、溜池畔、畑地、道ばたなどの湿った場所。
■果実期:4〜6月
■西宮市内での分布:市内では全域で普通に見られる。

Fig.2 茎と葉。(西宮市・社寺境内 2009.12/1)
  茎は根際から叢生する。葉は倒披針形で、茎とともに綿毛に被われる。

Fig.3 花序。(西宮市・休耕田 2010.5/13)
  茎頂部の枝分かれした先に散房状に頭花が集まってつく。

Fig.4 つぼみ。(西宮市・社寺境内 2009.12/1)
  総苞は球鐘形、片は3列あり、乾膜質、黄白色で光沢がある。

Fig.5 頭花。(西宮市・休耕田 2010.5/13)
  頭花は外側に糸状の小さな雌花が並び、その内側に大きな筒状の両性花が集まる。

Fig.6 開花中の雌花(矢印部)。(西宮市・休耕田 2010.5/13)
  2岐する柱頭が開いている。

Fig.6 越冬態。(西宮市・社寺境内 2009.12/1)
  根生葉のみの偽ロゼットを形成して、常緑越冬する。

Fig.7 初冬に開花した個体。(西宮市・社寺境内 2009.12/1)
  ハハコグサは秋〜初冬にかけて開花していることも多い。

Fig.8 七草粥の時期の全草。(西宮市・管理休耕田 2011.1/4)
  短い主茎と、基部から分枝した枝が偽ロゼット状に四方に広がる。
  ハハコグサは元は東南アジア一帯で餅に練りこんで食された。
  この食習慣がヨモギの分布する日本や東アジアに入ると、緑色の色味がよく出るヨモギに取って代わられヨモギ餅となる。
  生ではアクが強く渋みがあり、これはタンニン様の物質を含むためで、これは民間療法で薬用に使用された。
  七草粥では新芽の柔らかい部分を選り分けて使用する。硬い茎の部分は取り除いたほうが食感がよい。

西宮市内での生育環境と生態
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
北村四郎, 1981. キク科ハハコグサ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 p.206〜207. pls.81〜83. 平凡社
北村四郎・村田源・堀勝, 2004 キク科ハハコグサ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(1) 合弁花編』 p.73〜74. pls.24. 
牧野富太郎, 1961 ホオコグサ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 634. 北隆館
大場達之. 2001. キク科ハハコグサ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 1380〜1384. 神奈川県立生命の星・地球博物館
村田源. 2004. ハハコグサ. 『近畿地方植物誌』 23. 大阪自然史センター
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. ハハコグサ. 『六甲山地の植物誌』 206. (財)神戸市公園緑化協会


最終更新日:10th.Jan.2011

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