湿地や用水路脇、河畔などに生える多年草。
根茎を地下に横走させ、まばらに群生し、全草には芳香がある。
茎は方形で下部では斜上、上部は直立し、高さ20〜40cm、葉や萼とともにごくまばらに軟毛がある。
葉は狭卵形〜長楕円形で、長さ2〜8cm、幅1〜2.5cm、両面に腺点があり、葉縁には鋭い鋸歯があり、鋭頭、基部はくさび形となり、6〜20mmの葉柄がある。
花は上部の葉腋に球状に集まり、淡紅色、花柄に毛がある。萼は長さ2.5〜3mmで、狭三角形、鋭尖頭の5歯がある。
花冠は長さ約4〜5mm、4裂する。雄蕊は4個で全て同長。分果は扁平な楕円形で長さ約0.7mm。
【メモ】 古くから鎮痛、健胃薬として栽培され、アジア産のハッカとかけあわせたいくつかの栽培品種もある。
こういった栽培品種も逸出していることは充分に予想され、web上にあるハッカの画像にはかなりの変異幅が見られる。
また、図鑑の特徴の記述にも多少の差があるように思われる。本来の在来ハッカがどのようなものであるのか、なかなか実態は把握し難い。
兵庫県下には在来もしくは古い栽培起源と考えられるハッカが用水路脇や河川敷によく見られ、茎が紫色を帯びて細いものと、茎がやや太く緑色のものとが見られる。
西宮市内のものは茎がやや太く茎が緑色のものである。茎が紫色を帯び、やや細いものは丹波地方でよく見られる。
■分布：北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国、シベリア、樺太
■生育環境：湿地、用水路脇、河畔など。
■花期：8〜10月
■西宮市内での分布：市内では有馬川の河川敷に群生が見られる。
茎は方形で軟毛があり、稜は張り出して明瞭である。葉は茎に対生する。
葉は狭卵形〜長楕円形、葉縁に鋭い鋸歯があり、鋭頭、基部はくさび形、明瞭な葉柄がある。
葉には両面に腺点があるが、裏面の方が多く明瞭。腺点は比較的均等に分布している。
花序は球状で、多数の花が密生してつく。各花には花柄があり、花後も生長を続けて伸びる。
花冠は淡紅色で4裂する。雄蕊は4個で全て同長。
ハッカには短花柱花と長花柱花がある。画像のものは柱頭が2岐する花柱が飛び出しており、長花柱花である。
この場所のものはどの個体も結実していなかったが、長花柱花しかないためなのか、あるいは時期が遅いためか、どちらなのかは不明。
9月頃もう一度調べてみる必要がある。
花序は輪散花序（輪状集散花序）。葉腋から短い花茎が伸び、2個の3深裂する苞葉があって、それぞれの花柄が伸びている。
萼は5裂し、裂片は狭三角形、鋭尖頭。花茎、苞葉、花柄、萼、いずれにも毛がまばらに生える。
花後にも花茎は伸びる。苞葉の裏、萼の脈間にも腺点があるのが判る。
分果ができているか確認しようとしたが、どれも子房が黒く固まって、全て不稔であった。
不稔の種間雑種（栽培種含む）か、短花柱花がないためか、時期が遅いためなのか、いずれが原因か分からない。
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