ハマサジ Limonium tetragonum  (Thunb.) A. A. Bullock イソマツ科 イソマツ属
塩性湿生植物  環境省準絶滅危惧(NT)・兵庫県RDB Cランク種
Fig.1 (西播磨・河口 2011.11/10)

Fig.2 (岡山県備前市・河口 2013.8/8)

塩性湿地、海岸の砂地などに生育する越年草。
葉は根際に群生し、厚くなめらかで、長楕円状へら形、先は鈍いかややとがり、下部はしだいに狭まって柄状となり、
縁には鋸歯がなく、長さ8〜17cm、幅1.5〜3cm。
秋に群生する葉の中央から高さ30〜50cmの花茎を伸ばし、いちじるしく分枝し、多数の小穂からなる円錐状の花序をつくる。
小穂お基部の苞は狭3角形で鋭頭、長さ2mm。小穂は2個の苞に包まれ、1個の正常花と1個の不稔の花がある。
上側の小苞は楕円形で長さ4mm、下側の小苞は小さく、長さ1〜1.5mm。
萼は筒形で白色、長さ5〜6mm、膜質、5浅裂し、稜があり、稜上には白毛が生える。
花冠は5深裂し、長さ7mm、裂片は狭いさじ形で、上部は黄色。痩果は紡錘形で、長さ2.5mm。
近似種 : イソマツ

■分布:本州(太平洋岸)、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国東北部
■生育環境:塩性湿地、海岸の砂地など。
■果実期:9〜11月
■西宮市内での分布:市内では見られない。

Fig.3 根際に群生する葉。(西播磨・河口 2011.6/15)
  葉は厚くなめらかで、長楕円状へら形、先は鈍いかややとがり、下部はしだいに狭まって柄状となり、縁には鋸歯がない。

Fig.4 花茎。(西播磨・河口 2011.11/10)
  花茎は群生する葉の中央から出て、いちじるしく分枝する。
  葉は開花終わりに近い11月に入っているためか、枯れ落ちているものが多かった。

Fig.5 花茎の枝先寄りに多数の小穂が一方向に並ぶ。(西播磨・河口 2011.11/10)

Fig.6 枝に並んだ小穂。(西播磨・河口 2011.11/10)
  枝先には多数の小穂が並ぶが、一度に開花する花は少数である。

Fig.7 小穂。(西播磨・河口 2011.11/10)
  小穂には2小花があり、各花はそれぞれ小苞に包まれる。結実するのは1花で上側の小苞の中にある。
  萼は筒状で、5浅裂し、裂片は膜質で白色。花冠は5深裂し、黄色、鈍頭。雄蕊5個。花柱5個。

Fig.8 結実。(西播磨・河口 2011.11/10)
  画像右中央のものは果実が成熟しつつある。萼は結実期にも宿存する。
  果実は熟しても裂開せず、中に紡錘形の痩果が1個あり、果皮には5個の肋が見えている。

他地域での生育環境と生態
Fig.9 塩性湿地に生育するハナサジ。(西播磨・河口 2011.11/10)
河川河口部に細砂の堆積した塩性湿地が成立し、他の塩性植物とともに群落を形成していた。
同所的にフクド、ホソバハマアカザ、ハママツナ、ウラギク、ナガミノオニシバ、イソヤマテンツキが生育している。

Fig.10 河口の砂礫地に生育するハマサジ。(西播磨・河口 2013.8/8)
河川河口部のハママツナが優占する砂礫地斜面にハマサジが点在していた。
ここではフクド、ホソバハマアカザ、ウラギク、シオクグ、ホソムギ、シバナ、ドロイが生育している。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
山崎敬, 1981. イソマツ科イソマツ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 p.267. pl.21. 平凡社
北村四郎・村田源・堀勝, 2004 イソマツ科イソマツ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(1) 合弁花編』 p.223. pl.67. 
村田源. 2004. ハマサジ. 『近畿地方植物誌』 53. 大阪自然史センター
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. ハマサジ. 『六甲山地の植物誌』 174. (財)神戸市公園緑化協会
兵庫県. 2010. ハマサジ. 『兵庫の貴重な自然 兵庫県版レッドデータブック2010(植物・植物群落)』 76. (財)ひょうご環境創造協会
布施静香・黒崎史平 2005. ハマサジ. 兵庫県産維管束植物6 イソマツ科. 人と自然15:105. 兵庫県立・人と自然の博物館

最終更新日:21st.Mar.2014

<<<戻る TOPページ