クサネム Aeschynomene indica  L. マメ科 クサネム属
湿生植物
Fig.1 (西宮市・休耕田 2007.10/11)

Fig.2 (兵庫県三田市・水田 2011.8/15)

水田や休耕田、用水路内などに生える1年草。
茎は直立し高さ40〜120cm、上部は中空、いぼ状の基盤を持つ毛がまばらに生える。
葉は偶数羽状裂葉で小葉は多数、柔らかく長さ6〜10mm、下面は白色を帯び、触るとゆっくりと閉じ、夜間には葉が閉じて休眠する。
花は淡黄色蝶形で長さ1cm内外、2〜3個まばらに総状につく。
苞は托葉状で萼の基部にも小苞がある。萼は基部近くまで2深裂し長さ約5mm。
豆果は無毛で長さ3〜4cm。熟すと6〜8個に節で分離する(節果)。

酷似するものに外来種のアメリカクサネムA. virginica)がある。花はやや大きく長さ1.3〜1.5cmで、ときに赤味を帯びる。
若枝や豆果にはいぼ状の基盤をもつ毛がクサネムよりも多く生えるという。
同じく外来種でツノクサネム属のアメリカツノクサネムSesbania exaltata)は、萼が5裂し、花はやや大型で1.5〜2cm。
豆果は斜め上向きについて、著しく長く、長さ20cmにも達する。

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ アジア、アフリカ、オーストラリア
■生育環境:水田、休耕田、用水路内など。
■花期:8〜10月
■市内での分布:全域に分布するが、最近平野部の水田では少なくなった。

Fig.3 開花中のクサネム。(兵庫県明石市・休耕田 2008.8/31)
  花は花序にまばらにつくためあまり目立たない。

Fig.4 花冠。(兵庫県明石市・休耕田 2008.8/31)
 

Fig.5 果実。(兵庫県明石市・休耕田 2008.8/31)
  果実は節果で、莢は立てに連なった仕切りで仕切られ、節の部分で切れて落果する。

Fig.6 クサネムの葉。(西宮市・水田の畦 2008.8/2)
  偶数羽状裂葉。触るとゆっくりと閉じ、夕刻になると閉じて休眠する。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.7 休耕田でかたまって生育するクサネム。(西宮市・休耕田 2007.10/11)
同所的にアゼガヤ、カワラスガナ、アゼガヤツリ、ヒメヒラテンツキ、マツバイ、ミゾハコベ、ミゾカクシなどの水田雑草が生育。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大橋広好, 1982. マメ科クサネム属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本2 離弁花類』 pp.201. pls.193. 平凡社
村田源, 2004 クサネム. 北村四郎・村田源『原色日本植物図鑑 草本編(2) 合弁花編』 pp.95〜96. pls.22. 保育社
牧野富太郎, 1961 クサネム. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 306. 北隆館
北川淑子・堀内洋. 2001. クサネム属、ツノクサネム属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 918〜919. 神奈川県立生命の星・地球博物館
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. クサネム. 『六甲山地の植物誌』 141. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. クサネム. 『近畿地方植物誌』 82. 大阪自然史センター
赤井賢成・福岡誠行・黒崎史平 2002. クサネム. 兵庫県産維管束植物4 マメ科. 人と自然13:157. 兵庫県立・人と自然の博物館

最終更新日:31st.Oct.2011

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