クサソテツ | Matteuccia struthiopteris (L.) Todaro. | オシダ科 クサソテツ属 |
湿生植物 |
Fig.1 (西宮市・河川敷 2007.10/11) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・休耕田 2013.4/26) 日当たりのよい湿地や河川敷、山地の湿地や草原、林縁、林床などに生育するやや大型の夏緑性シダで、多年草。 冷涼な地域では大群生をつくっていることがある。 草姿は名の通りソテツに似る。葉柄の基部は平たく広がるが、中軸は先端に向かうほど細くなり、先端では嘴状に細まる。 葉は1回羽状複葉で、葉身先端の羽状片は急に小さくなり、葉身下部の羽状片は序々に小さくなる。 羽状片は深裂し、先端は円頭。 2葉性で、栄養葉と胞子葉があり、胞子葉ははじめは緑色だが、のちに暗褐色になり冬季にも宿存する。 若芽は「コゴミ」と称され、クセのない美味しい山菜として人気がある。 また、草体とその群生する姿が美しいため、庭園にまとめて植えられることもある。 ■分布:北海道、本州、四国、九州 ■生育環境:日当たりのよい湿地、河川敷、山地の湿地や草原、林縁、林床など。 ■胞子形成期:10〜11月 ■西宮市内での分布:北部の河川敷に生育する。 |
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↑Fig.3 葉を放射状に広げ、ソテツに似た草姿のクサソテツ。(西宮市・河川敷 2007.10/11) |
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↑Fig.4 クサソテツの基部。(西宮市・河川敷 2007.10/11) 枯れ落ちた葉身の基部が残り、中心に向かって次第に盛りあがった様子もソテツを思わせる。 |
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↑Fig.5 クサソテツの栄養葉の小葉。(西宮市・河川敷 2007.10/11) 羽状片は深裂し、先端は円頭。 |
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↑Fig.6 根茎は塊状で、地中に太い走出枝を伸ばす。(西宮市・河川敷 2007.10/11) |
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↑Fig.7 秋になると縦に細い胞子葉を立ち上げる。(西宮市・河川敷 2007.10/11) 胞子葉は栄養葉よりもやや短い。 |
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↑Fig.8 胞子葉は羽状複葉。(西宮市・河川敷 2007.10/11) |
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↑Fig.9 胞子葉の拡大。(西宮市・河川敷 2007.10/11) 全体に短毛を密生し、小葉は外側に巻き、葉縁は合着して、丸いくびれのある細い筒状となり、内部には胞子嚢塊が形成される。 |
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↑Fig.10 胞子葉小葉の断面。(西宮市・河川敷 2007.10/11) 内部には胞子嚢が密にぎっしりと詰まっている。 自然状態では、胞子葉は冬にも立ち枯れて残り、胞子はふつう翌年の春に飛散するという。 |
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↑Fig.11 胞子嚢がはじける様子。(西宮市・河川敷 2007.10/11) 胞子嚢には乾くと急速に収縮するバネのような付属物(環帯という)があり、外気に触れて乾燥するとバネが縮み、 胞子嚢が一気に弾けて、内部の胞子を撒き散らす。 画像は@、A、Bで胞子嚢が弾けていく様子を示す。Bでは周囲に飛散した胞子が見られる。 Cは胞子嚢の拡大。環帯が胞子嚢の外縁2/3ほどをとり巻いているのが見える。 |
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↑Fig.12 胞子葉は翌春まで残る。(兵庫県篠山市・河川敷 2008.3/25) |
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↑Fig.13 フィドルヘッド。(西宮市・河川敷 2013.4/5) 山菜の「コゴミ」として馴染み深い姿。 一株につき最低でも3本の新葉は残すようにしたい。株が衰弱して翌年の新葉が痩せてしまうことになる。 |
西宮市内での生育環境と生態 |
Fig.14 河川敷にまばらに群生するクサソテツ。(西宮市・河川敷 2007.10/11) ススキ、ヨモギ、オオオナモミ、セイタカアワダチソウなどの間に、太い走出枝を伸ばして強健に生育する。 |
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Fig.15 河川低水敷に群生するクサソテツ。(西宮市・河川敷 2009.11/20) このようにクサソテツが密生する場所は、低水敷でも横走する根茎によって堅牢となり、多少の氾濫でも崩れることなく耐える。 氾濫によって土砂が少しづつ堆積するため、根茎は土中のかなり深い場所にあることが多い。 |
他地域での生育環境と生態 |
Fig.16 渓流に面した湿った斜面に群生するクサソテツ。(兵庫県篠山市・渓流の斜面 2008.5/16) |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 光田重幸, 1986. クサソテツ. 『しだの図鑑』 pls.75. p.77. 保育社 山本明. 2001. クサソテツ. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 113〜114. 神奈川県立生命の星・地球博物館 小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. クサソテツ. 『六甲山地の植物誌』 98. (財)神戸市公園緑化協会 松岡成久. 2010. クサソテツ. 西宮市産植物・補遺、並びに西宮市内に生育する要注目種(その1)シダ植物. 兵庫県植物誌研究会会報 82:3 最終更新日:20th.Oct.2014 |