ジュズスゲ | Carex ischnostachya Steud. | カヤツリグサ科 スゲ属 ジュズスゲ節 |
湿生植物 |
Fig.1 (西宮市・林道脇 2007.5/27) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・多湿な林床 2013.5/22) 林縁や林道の湿った場所、溜池畔などに生える多年草。 叢生し、匍匐枝はない。基部の鞘は葉身がなく、淡色またはわずかに暗赤色を帯びる。 葉は幅5〜10mm。有花茎は高さ30〜60cm。 頂小穂は雄性、側小穂は雌性で直立。雄小穂は線形で淡色、長さ2〜3cm。 雌小穂は2〜5個つき、長さ2〜5cm、幅3.5mm。鱗片は淡緑色で果胞の1/2〜1/3長、鋭頭または鈍頭。 果胞は長さ3.5〜5mm、無毛、熟しても直立。柱頭は3岐する。 関東以西には変種のオキナワジュズスゲ(var. fastigiata)が生育する。 ジュズスゲよりも雌小穂が細長く、果胞は長さ3〜3.5mm、基部は強く暗赤色を帯びる。 ■分布:北海道、本州、四国、九州、伊豆大島 ・ 朝鮮半島、中国 ■生育環境:林道脇や林縁の湿った場所に多い。 ■果実期:5〜6月 ■西宮市内での分布:中・北部の3ヶ所で確認したが、まだ他にも自生地があると思われる。兵庫県内には普通に見られる |
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↑Fig.3 全草標本。(西宮市・林道 2010.5/27) 叢生し、匍匐枝はない。葉幅5〜10mm。 |
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↑Fig.4 基部。(西宮市・林道 2010.5/27) 基部の鞘には葉身がなく、淡色またはわずかに暗赤色を帯びる。 |
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↑Fig.5 果胞と痩果(乾燥したもの)。(西宮市・林道脇 2007.5/27) 果胞は無毛で平滑。痩果は倒卵形で頂部は短い嘴状となる。 |
西宮市内での生育環境と生態 |
Fig.6 砂防ダム内の人による踏みつけの多い場所で生育。(西宮市・砂防ダムの河畔 2007.5/30) ジュズスゲは林道など、踏みつけの多いような場所でよく見かける。 |
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Fig.7 河畔の樹林下の広場にまばらに生育するジュズスゲ。(西宮市・河畔の広場 2010.5/27) よく知られたハイキングコースにある林下の湿った広場にかなりの個体が点々と生育している。 同所的にマスクサ、スズメノヤリ、トボシガラ、クサイ、オオバコ、ヤブタビラコなどが見られた。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 大井次三郎, 1982. ジュズスゲ. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編) 『日本の野生植物 草本1 単子葉類』 p.154. pl.131. 平凡社 小山鐡夫, 2004 ジュズスゲ. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p.289. pl.72. 保育社 牧野富太郎, 1961 ジュズスゲ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 803. 北隆館 勝山輝男. 2001. スゲ属ジュズスゲ節. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 475〜477. 神奈川県立生命の星・地球博物館 勝山輝男, 2005 ジュズスゲ節. 『日本のスゲ』 318〜319. 文一総合出版 谷城勝弘, 2007 スゲ属ジュズスゲ節. 『カヤツリグサ科入門図鑑』 104〜105. 全国農村教育協会 小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. ジュズスゲ. 『六甲山地の植物誌』 244. (財)神戸市公園緑化協会 村田源. 2004. ジュズスゲ. 『近畿地方植物誌』 157. 大阪自然史センター 最終更新日:10th.Mar.2014 |