ジュズダマ Coix lacryma-jobi  L. イネ科 ジュズダマ属
湿生植物 ・ 帰化植物
Fig.1 (西宮市仁川百合野町・水路 2006.9/12)

河川や用水路、休耕田、やや富栄養な溜池畔などに帰化生育する多年草。
高さ1m前後になり、葉をつけた茎が多数集まって株をつくる。
茎の上部が短く分枝して花序となる。小穂は単生。
雄小穂は緑色で、2小花からなり、2〜3個づつつき、柄のある総となって、革質でつぼ形の苞鞘の上端から出る。
雌小穂は1個で苞鞘の内にあり、両側に退化した2個の小穂がある。
完全な小穂は1小花からなり、花柱は2岐し、雄小穂の総とともに、苞鞘の上端から外に長く突き出る。
苞鞘で数珠をつくる。
近似種ハトムギ

■分布:各地に帰化 ・ インドシナ、インドネシア原産
■生育環境:河川、用水路、休耕田、溜池畔など。
■花期:7〜10月
■西宮市内での分布:全域の河川などに比較的普通。

Fig.2 ジュズダマの花茎。(岡山県真庭市・休耕田 2007.9/23)
  花茎は葉腋から花序を出しながら分枝していく。

Fig.3 開花中の花序。(岡山県真庭市・休耕田 2007.9/23)
  馴染みのある数珠球の形をしたものは、雌小穂の苞鞘で、中に雌小穂がある。
  雄小穂は見かけ上、苞鞘の先端の縁につく。

Fig.4 開花中の雌小穂。(西宮市・夙川河川敷 2008.12/7)
  雌小穂は苞鞘の中にあって、苞鞘から2岐した非常に長い柱頭が出る。

Fig.5 開花中の雄小穂。(西宮市・夙川河川敷 2008.12/7)
  雄小穂のついた小軸は苞鞘の縁から出て、小軸には2〜3個の雄小穂がつく。雄小穂は2小花からなる。

Fig.6 熟した苞鞘。(岡山県真庭市・休耕田 2007.9/23)
  苞鞘は葉鞘が変化したもので、熟すと褐色となり、光沢があって硬質で、数珠に利用される。
  この頃にはすでに雄小穂は枯れ落ちている。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.7 河川の岸辺に群生するジュズダマ。(西宮市・夙川河川敷 2008.12/7)
冬期で葉は半ば枯れてしまっているが、花序は分枝を続けており、開花中の花序が見られた。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大井次三郎, 1982. イネ科ジュズダマ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本1 単子葉類』 pp.90. pls.70. 平凡社
小山鐡夫, 2004 イネ科ジュズダマ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 pp.390. pls.103. 保育社
藤本義昭. 1995. イネ科ジュズダマ属. 『兵庫県イネ科植物誌』 85〜86. 藤本植物研究所
木場英久. 2001. ジュズダマ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 359. 神奈川県立生命の星・地球博物館
桑原義晴, 2008 ジュズダマ属. 『日本イネ科植物図譜』 pp.157〜159. pls.16. 全国農村教育協会
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. ジュズダマ. 『六甲山地の植物誌』 227. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. ジュズダマ. 『近畿地方植物誌』 172. 大阪自然史センター

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