シュロガヤツリ Cyperus alternifolius  L. カヤツリグサ科 カヤツリグサ属
湿生植物 ・ 帰化植物
Fig.1 (西宮市・津門川中流 2007.6/4)

園芸や水質浄化のため栽培され、また西日本では逸出帰化している大型の多年草。マダガスカル島原産。
横走する太く短い根茎があり、叢生して大きな株をつくる。茎は高さ70〜100cmだが、ときに1mを超える。
葉は退化して茎の基部に鞘状につく。苞葉の葉身は葉状で茎の頂端に傘状に互生し、約20枚、線状で長さ10〜20cm、鋭頭。
散形花序は複生し、花序枝は2〜15cm、苞葉の葉身と交互に並んで多数つき、先に径19〜15mmの球状の分花序をつけ、10〜30個の小穂を放射状につける。
小穂は長楕円形、長さ5〜10mm、幅1.5〜2mm、扁平、淡褐色を帯び、10〜20個の鱗片が2列につく。
鱗片は楕円形、長さ1.8〜1.9mm、短芒を持ち、竜骨はやや鋭形。痩果は倒卵形で3稜あり、長さ約0.8mm。
花柱は痩果とほぼ同長。雌蕊柱頭は3岐する。

温室などで栽培されるカミガヤツリ(パピルス)C. papyrus)はシュロガヤツリよりもさらに大型で、高さ2〜3mにもなり、
苞葉の葉身は糸状線形で先が垂れる。寒さに弱く、帰化している例はない。

■分布:西日本で帰化 ・ マダガスカル島原産
■生育環境:河川敷、水路、路傍など。
■果期:5〜10月
■市内での分布:武庫川河川敷や小河川の水際で群生をつくるが、メリケンガヤツリほどの繁殖力はなく、あまり脅威とはならない気がする。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.2 小河川で群生するシュロガヤツリ。(西宮市・津門川中流 2007.6/4)


Fig.3 武庫川河川敷のシュロガヤツリ。(西宮市・武庫川河川敷 2007.6/4)
水際近くにコゴメイ(手前)やオギ(白い穂)などとともに生育している。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大井次三郎, 1982. カヤツリグサ科カヤツリグサ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本1 単子葉類』 pp.180〜184. pls.164〜168. 平凡社
小山鐡夫, 2004 カヤツリグサ科カヤツリグサ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 pp.238〜245. pls.60〜61. 保育社
北川淑子・堀内洋. 2001. カヤツリグサ属カヤツリグサ亜属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 400〜408. 神奈川県立生命の星・地球博物館
勝山輝男. 2001. シュロガヤツリ. 清水建美(編)『日本の帰化植物』 pp.296〜297. pls.159. 平凡社
清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七. 2001. シュロガヤツリ. 『日本帰化植物写真図鑑』 479. 全国農村教育協会
星野卓二・正木智美, 2003 シュロガヤツリ. 星野卓二・正木智美・西本眞理子『岡山県カヤツリグサ科植物図譜(U)』 98,99. 山陽新聞社
谷城勝弘, 2007 カヤツリグサ属. 『カヤツリグサ科入門図鑑』 174〜197. 全国農村教育協会
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. シュロガヤツリ. 『六甲山地の植物誌』 248. (財)神戸市公園緑化協会

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