シラン Beletilla striata  (Thunb.) Reichb. fil. ラン科 シラン属
湿生植物  環境省準絶滅危惧種(NT)・兵庫県RDB 要調査種
Fig.1 (兵庫県三田市・溜池畔 2006.5/11)

日あたりの良い湿地や湿った斜面に生える多年草。
茎の基部は偽球茎となり、偽球茎は多肉、扁平な球形で横に並ぶ。
茎は高さ30〜70cm、花柄がつく茎上部では赤紫色を帯びる。
葉は数個、硬い革質で無毛、披針形で顕著な縦じわがあり、鋭尖頭、長さ20〜30cm、幅2〜5cm、下部は鞘となる。
花序は総状で、やや大型の花を3〜7個つける。苞は長楕円状披針形、早落性で開花時にはない。
萼片および側花弁は狭長楕円形、やや鋭頭、長さ2.5〜3cm、幅6〜8mm。
唇弁は花被片と同長で、くさび状倒卵形、3裂し、中裂片は円形で縁は波状。蕊柱は長さ約2cm。

■分布:本州中南部、四国、九州、沖縄 ・ 中国、台湾
■生育環境:湿地、湿った斜面など。
■花期:4〜5月
■西宮市内での分布:分布しない。
              兵庫県内の湿地や棚田、溜池畔に見られるものは栽培品の種子が定着した逸出品である可能性が高いとされている。

Fig.2 開花中のシラン。(兵庫県三田市・溜池畔 2006.5/11)
  花は大きく美しいため、盛んに栽培されている。

生育環境と生態
Fig.3 溜池畔に点々と生育するシラン。(兵庫県三田市・溜池畔 2006.5/11)
兵庫県下に見られる集団は逸出したものが定着した可能性が高いとされている。
ここでは地元の方に話しをうかがうと、知らない間に定着していて少しづつ殖えたのだと言う。栽培品の種子が飛来して定着したのだろう。
県内には何ヶ所か、このような逸出・定着しているところがあるようだ。
シランが生育する周辺にはアゼスゲ、タチスゲ、ヘラオモダカ、ハナビゼキショウ、ソクシンランなどが見られた。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
里見信生, 1982. ラン科シラン属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本T 単子葉類』 p.217. pls.194. 平凡社
村田源, 2004 ラン科シラン属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p.48. pls.11. 保育社
牧野富太郎, 1961 シラン. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 894. 北隆館
秋山守・佐宗盈 2001. ラン科シラン属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 514〜515. 神奈川県立生命の星・地球博物館
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. シラン. 『六甲山地の植物誌』 254. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. シラン. 『近畿地方植物誌』 132. 大阪自然史センター
黒崎史平・高野温子 2009. シラン. 兵庫県産維管束植物11 ラン科. 人と自然20:181. 兵庫県立・人と自然の博物館

最終更新日:17th.Jan.2011

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