チョウジソウ Amsonia elliptica  (Thunb.) Roem. et Schult. キョウチクトウ科 チョウジソウ属
湿生植物  環境省準絶滅危惧(NT)・兵庫県RDB Aランク種
Fig.1 (兵庫県播磨地方・溜池土堤 2015.5/6)

川岸、河川敷、湿地、湿った草地や原野に生育する多年草。
茎は直立して高さ40〜80cm。葉は無毛で、披針形、鋭頭、長さ6〜10cm、幅1〜2cm。
花期に茎頂にやや多数の花を集散状につける。花は5数性。
花冠は青藍色で高杯状、長い花筒があり、径約13mm、裂片は狭長楕円形で平開する。
果実は袋果で、2本の円柱状、長さ5〜6cm。種子は長さ7〜10mm、両端は斜め切形。

■分布:本州、九州 ・ 朝鮮半島、中国
■生育環境:川岸、河川敷、湿地、湿った草地や原野など。
■花期:5〜6月
■西宮市内での分布:市内には生育していない。兵庫県では播磨地方にわずかに見られる。

Fig.2 茎。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2015.5/6)
  茎は直立し、無毛で平滑。葉はふつう互生するが、一部で対生することがある。

Fig.3 葉。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2015.5/6)
  葉は無毛で、披針形、鋭頭、長さ6〜10cm、幅1〜2cm。

Fig.4 花序。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2015.5/6)
  花は茎頂に集散状に多数集まってつき、5数性。萼は5中裂し、裂片は長3角形、鋭尖頭。
  花冠は青藍色で高杯状、長い花筒があり、径約13mm、裂片は狭長楕円形で平開する。

Fig.5 花の拡大。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2015.5/6)
  花筒内面には白色の毛が密生する。雄蕊は花筒上部につくが、白毛により外からは見えない。


Fig.6,7 訪花昆虫。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2015.5/6)
  コマルハナバチ(上)とツマグロハナカミキリ(下)。群生して開花しているだけあって、多くの訪花昆虫が見られた。
  他にハナバチ類ではクロマルハナバチ、ヒゲナガハナバチの仲間が、蝶類ではベニシジミ、キタキチョウが訪花していた。

Fig.8 老熟した袋果。(三重県・海潟湖畔 2014.10/26)
  果柄は長く伸び、先に2本の円柱状の袋果がつく。
  画像のものは老熟して、袋果の外殻が枯れて繊維が残り、すでに多くの種子がこぼれ落ちている。

Fig.9 種子。(三重県・海潟湖畔 2014.10/26)
  種子は袋果内に数個でき、明るい鉄錆色、短い円柱形で、長さ7〜10mm、両端は斜め切形。

Fig.10 幼植物。(兵庫県播磨地方・溜池畔 2015.5/6)
  双葉は披針形で鈍頭。本葉は長楕円形、鋭頭で、2枚が対生していた。

生育環境と生態
Fig.11 溜池土堤の堤体上に群生するチョウジソウ。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2015.5/6)
自生地はシカの食害の激しい地域で、チョウジソウはシカの忌避植物であるため、選択的に残されて群生するまでになっている。
チョウジソウは堤体上と池側斜面に生育しており、ほとんど純群落を形成し、ワラビ、シバ、ノゲヌカスゲ、ニガナが混じり、下部にイグサとタチスゲがわずかに見られた。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
村田源, 1981. キョウチクトウ科チョウジソウ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 p.38. pl.22. 平凡社
兵庫県. 2010. チョウジソウ. 『兵庫の貴重な自然 兵庫県版レッドデータブック2010(植物・植物群落)』. (財)ひょうご環境創造協会
天野誠. 1998. チョウジソウ. 矢原徹一(監修)『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプランツ』 144. 山と渓谷社

最終更新日:28th.May.2015

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