マルバオモダカ Caldesia parnassifolia  (Bassi ex L.) Parl. オモダカ科 マルバオモダカ属
水生植物 > 浮葉植物  環境省絶滅危惧U類(VU)・兵庫県RDB Bランク種
Fig.1   (兵庫県三田市・溜池跡湿地 2011.8/15)

Fig.2   *注:画像は果実期の草体。(兵庫県加東市・溜池 2008.9/22)

湖沼、溜池、水田などに生育する多年生の浮葉〜抽水植物。水深1m付近まで生育できる。
茎は短く、葉は根生する。4〜5月に幅2〜3mmの線形リボン状の幼葉を最初に出すが、形成しないこともある。
次いで長楕円形の葉身を持つ初期浮葉を経て卵心形の浮葉、円心形の抽水葉の成葉となる。
葉柄の長さ10〜60cm、葉身の長さ5〜14cm、幅3〜10cm。生育場所の水深によって浮葉のみを出す場合と、一部または全部が抽水葉となる場合がある。
花茎は高さ30cm〜100cm、3枝を輪生し、各枝はさらに数個の花柄を輪生する。花は両性花。萼片3個。花弁3個で白色、先は歯牙状。雄蕊6個。雌蕊は6〜9個。
果実は楕円形で長さ3mm、背面に2個の縦溝があり、水に浮く。また、9月頃に水面にある花序に殖芽をつくり、水中に沈下して越冬する。

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 中国、インド、オーストラリア、マダガスカル
■生育環境:湖沼、溜池、水田など。
■花期:7〜9月
■西宮市内での分布:市内では見られない。


Fig.3,4 マルバオモダカの花。(兵庫県三田市・湿地 2008.8/17)
  花序の枝から花柄を輪生して開花する。
  花弁3個で先は歯牙状となり、基部はかすかに黄色を帯びる。萼片3個。雄蕊6個で、葯は黄色で卵形、花糸は葯のおよそ2倍長。
  雌蕊は6〜9個からなり、短く軟質の刺針状。

Fig.5 果実期。(兵庫県加東市・溜池 2008.9/22)
  果実期にも萼片は残る。果実は楕円形で長さ3mm、背面に2個の縦溝がある。

Fig.6 浮葉。(兵庫県加東市・溜池 2008.9/22)
  水深のある場所に生育するものは、浮葉のみを水面に浮かべる。浮葉は卵心形で、光沢がある。

Fig.7 抽水葉を出したマルバオモダカ。(自宅植栽 2008.8/22)
  水深の浅い場所では、浮葉を出した後、円心形の抽水葉を出す。

Fig.8 殖芽を形成したマルバオモダカ。(兵庫県三田市・湿地 2007.10/7)
  殖芽のみを形成する花茎はやや短く水中に倒伏したり、横に伸びたりすることが多い。

Fig.9 殖芽からの芽生え。(自宅植栽 2008.5/11)
  殖芽は4〜5月に発芽する。最初は小さな線形の沈水葉を出し、後に長楕円形の浮葉を出す。

Fig.10 初期の沈水葉。(兵庫県小野市・溜池 2011.9/19)
  不鮮明な画像だが、溜池で浮葉を上げている個体の基部に、初期の線形の沈水葉が数枚残っているのが観察された。

Fig.11 様々な形の初期の浮葉。(兵庫県三田市・湿地 2007.6/21)
  長楕円形から卵心形の葉まで見られる。
  葉脈は基部から先端に向かって平行脈が数条走るが、基部が心形とならない長楕円形の葉には中央脈のみが見られる。

生育環境と生態
Fig.12 溜池に点在するマルバオモダカ。(兵庫県加東市・溜池 2008.9/22)
多様な湿生・水生植物が繁茂する、やや腐植栄養質な自然度の高い溜池に生育していた。
左手前の緑濃い浮葉はヒツジグサのもので、それ以外の浮葉はマルバオモダカのもの。
抽水状態の線形の草体はカンガレイ。他にハリコウガイゼキショウ、シロイヌノヒゲ、ヒメガマが抽水状態でみられた。
水中にはホッスモとイヌタヌキモが繁茂する。

Fig.13 湿地内の浅い水路で生育するマルバオモダカ。(兵庫県三田市・湿地 2007.10/7)
もとは溜池だったと思われる湿地の水路内で生育する。水路内にはマルバオモダカとともに、ヒツジグサ、ジュンサイ、フトヒルムシロが
見られ、フラスコモ類が多い。
湿地ではシロイヌノヒゲ、イヌノヒゲ、ヤチカワズスゲ、タチスゲ、オニスゲ、ヤマイ、シカクイ、ヌマガヤが多く、他にモウセンゴケ、
ヤマトミクリなども見られた。

Fig.14 溜池に浮葉を上げて生育するマルバオモダカ。(兵庫県小野市・溜池 2011.9/19)
丘陵部の自然度の高い溜池にマルバオモダカが多数の浮葉を上げていた。
溜池にはサイコクヒメコウホネ群落、ノタヌキモとイヌタヌキモの浮遊植物群落が見られ、ノタヌキモがよく開花していた。
ここでは水位が深いためか、マルバオモダカはどの個体も花茎を上げていなかった。

Fig.15 水中で葉柄を長く伸ばしたマルバオモダカ。(兵庫県小野市・溜池 2011.9/19)
Fig.14の水中内の画像で、マルバオモダカは水深20〜60cmの場所に多く生育していた。
浮葉の葉柄の伸長速度は早く、1日で5cm近く伸びる。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
角野康郎, 1994 オモダカ科マルバオモダカ属. 『日本水草図鑑』 17〜19. 文一統合出版
大滝末男, 1980 マルバオモダカ. 大滝末男・石戸忠 『日本水生植物図鑑』 208,209. 北隆館
山下貴司, 1982. オモダカ科マルバオモダカ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本1 単子葉類』 p.2. pls.2. 平凡社
北村四郎, 2004 オモダカ科マルバオモダカ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p.399〜400. pls.105. 保育社
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. マルバオモダカ. 『六甲山地の植物誌』 213. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. マルバオモダカ. 『近畿地方植物誌』 198. 大阪自然史センター
角野康郎・高野温子 2007. マルバオモダカ. 兵庫県産維管束植物9 オモダカ科. 人と自然18:86. 兵庫県立・人と自然の博物館

最終更新日:24th.Sept.2011

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