ジュンサイ | Brasenia schreberi J. F. Gmel. | スイレン科 ジュンサイ属 |
水生植物 > 浮葉植物 |
西宮市内での生育環境と生態 |
Fig.11 貧栄養な溜池で他種とともに浮葉植物群落をつくるジュンサイ。(西宮市・溜池 2007.5/12) 5月になると、浮葉植物が一斉に新しい浮葉をあげてくる。画像にはフトヒルムシロ、ヒツジグサが見られ、他には若干ながらヒシも見られた。 自然度の高い貧栄養な溜池ではフトヒルムシロ、ヒツジグサとともに見られることが多く、浮遊するイヌタヌキモもよく見られる。 |
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Fig.12 溜池の浅瀬でシズイとともに見られるジュンサイ。(西宮市・溜池 2007.7/1) 浮葉植物の勢力の強い溜池では、水底に届く光量が限られ、水底にはシャジクモ類やフラスコモ類などの淡水藻類が見られる程度で 沈水植物は少ない。 しかし、浅水域ではサンカクイ、カンガレイ、ホタルイ、シズイ、コマツカサススキなどのカヤツリグサ科、ハリコウガイゼキショウ、 イグサ、ホソイなどのイグサ科、ヒメガマなどのガマ科のような、鉛直方向に生育する抽水植物の生育が可能で、 池畔では点々と生育するこれらの草本を眼にすることができる。 |
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Fig.13 溜池の半分を覆うジュンサイ。(西宮市・溜池 2006.9/12) かつてはこのような光景は市内の丘陵部を中心として、いたるところで見られただろう。 市内北部地域は、旧来からの里山の景観が今もなお残る貴重な場所であり、後世に残すべきものだと思う。 |
他地域での生育環境と生態 |
Fig.14 中栄養な溜池で浮葉植物群落をつくるジュンサイ。(兵庫県篠山市・溜池 2010.8/19) 里山の溜池の水面の大部分をジュンサイの浮葉が埋め尽くしていた。 他の浮葉植物ではヒシとホソバミズヒキモが少量生育し、水中ではイヌタヌキモが多く、水際にはカンガレイ、ヒメガマが生育していた。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑および一般図書を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 角野康郎, 1994. ジュンサイ. 『日本水草図鑑』 p.108 pl.110. 文一統合出版 大滝末男, 1980. ジュンサイ. 大滝末男・石戸忠 『日本水生植物図鑑』 88〜89. 北隆館 田村道夫, 1982. スイレン科ジュンサイ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編) 『日本の野生植物 草本2 離弁花類』 p.93. pl.93. 平凡社 北村四郎, 2004 スイレン科ジュンサイ属. 北村四郎・村田源 『原色日本植物図鑑 草本編(2) 離弁花類』 p.250〜251. pl.56. 保育社 牧野富太郎, 1961 ジュンサイ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 163. 北隆館 浜島繁隆, 2001. ジュンサイ. 浜島繁隆・土山ふみ・近藤繁生・益田芳樹 (編)『ため池の自然』 76. 信山社サイテック 諏訪哲夫. 2001. スイレン科ジュンサイ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 714. 神奈川県立生命の星・地球博物館 小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. ジュンサイ. 『六甲山地の植物誌』 123. (財)神戸市公園緑化協会 村田源. 2004. ジュンサイ. 『近畿地方植物誌』 113. 大阪自然史センター ------------------------------------------------------------------------------------- 木元新作, 1984. ジュンサイハムシ.林匡夫・森本桂・木元新作(編) 『原色日本甲虫図鑑(W)』 pls.35. pp.180. 保育社 田中 雅也, 中筋 房夫. 2002. 水生捕食者ハネナシアメンボの餌としてのジュンサイハムシの利用可能性. 日本応用動物昆虫学会誌 46:44〜46. 最終更新日:15th.Nov.2014 |