アオウシノケグサ Festuca ovina  L.
  var. coreana  (St. Yves) St. Yves
  里山・草地の植物 イネ科 ウシノケグサ属

Fig.1 (西宮市・棚田の土手 2011.5/17)

Fig.2 (西宮市・棚田の畦 2009.5/29)

丘陵〜低山の草地や道端、林縁に生育する多年草。
わりと普通に見られる種であるにも関わらず、ほとんどの図鑑に詳しい記述がない。2010年次には詳しく形態を掲載する予定。
根生葉は他種よりも著しく細く、有花茎上部には毛がある。

【メモ】 西日本に多く分布する種のようであり、兵庫県下では里山でよく眼にし、西宮市内でも丘陵部によく出現する。
近縁種 : ウシノケグサ、オオウシノケグサ、オニウシノケグサ、ヒロハウシノケグサ

■分布:本州、四国、九州
■生育環境:丘陵〜低山の日当たり良い草地、道端、林縁など。里山に多い。
■花期:5〜8月

Fig.3 全草標本。(西宮市・林縁草地 2010.5/9)
  根茎は短く密に叢生する。細い内巻きした濃緑色の根生葉が多数束生する。花茎は根生葉よりもはるかに長い。

Fig.4 根生葉と茎につく葉。(西宮市・林縁草地 2010.5/9)
  根生葉、茎葉ともに強く内巻きして円筒形糸状となり、その状態で幅約0.6mm。葉舌は切形だが右半分、あるいは左半分が低くなりL型となる。
  茎葉は花茎(稈)の下方に2〜3個まばらにつき、鞘の口部は多少とも肥厚し、ときに葉耳がある。葉身断面の維管束は3本ある。

Fig.5 花茎(稈)の表面には短毛が生える。(西宮市・林縁草地 2010.5/9)

Fig.6 花序。(西宮市・林縁草地 2010.5/9)
  穂状花序はおおむね直立し、各節から1〜2本の枝を出し、花序の下方の節につく長い枝には3〜8個の小穂をまばらにつける。

Fig.7 花序の枝。(西宮市・林縁草地 2010.5/9)
  花序軸とともに、花序の枝には短白毛が密生する。そのため肉眼で見ると粉白色を帯びたように見える。

Fig.8 小穂。(西宮市・林縁草地 2010.5/9)

Fig.9 小穂の柄と2個の苞頴。(西宮市・林縁草地 2010.5/9)
  小穂の柄には上向き小刺毛が密に生える。
  苞頴2個は披針形、鋭頭、芒は無く、第2苞頴のほうが長い。いずれも3脈あり、脈上には上向きの小刺毛が生え、縁には上向きの微短毛が並ぶ。

Fig.10 小穂に並んだ護頴。(西宮市・林縁草地 2010.5/9)
  護頴は5脈あるが不明瞭で、中央の竜骨脈が発達し、上向きの刺状突起がならび、ざらつく。
  護頴の縁は赤紫色を帯びることが多いが、緑色のものもある。

Fig.11 内側から見た護頴(上)と内頴(下)。(西宮市・林縁草地 2010.5/9)
  護頴と内頴はほぼ同長。護頴の先は狭まって短い芒状となる。
  内頴は膜質で2脈あり、先はわずかに2裂し、内側に雄蕊の葯が3個格納されているのが見える。

Fig.12 内頴から葯を持ち上げたところ。(西宮市・林縁草地 2010.5/9)
  苞頴基部には半透明乳白色、球形、無毛の子房があり、先に2岐した柱頭がある。
  子房の手前には長三角状の鱗皮が見える。鱗皮は1個だけしか見えていないが、2個ある。

生育環境と生態
Fig.13 里山にある棚田の石垣に生育するアオウシノケグサ。(西宮市・棚田 2010.5/13)
アオウシノケグサは日当たりのよい場所を好み、里山では棚田の斜面や石垣などにも生育している。
ここでは石垣の間にトラノオシダ、イヌシダ、ゲジゲジシダ、ノキシノブ、アリマイトスゲ、ワレモコウ、ニガナなどとともに点々と見られた。
画像のものは開花直前の個体で、まだ円錐花序が開いていない。

Fig.14 里山の農道脇の草地に生育するアオウシノケグサ。(西宮市・農道脇 2010.6/6)
こちらの円錐花序も開いていないが、これは結実期の個体。アオウシノケグサは受粉が終わると花序を閉じ、熟すにつれて赤紫色を帯び、結実期には紫褐色となる。
ここでは刈り込みの行き届いた農道脇の日当たり良いネザサが優占する草地にスズメノヤリ、ヌカボ、トボシガラ、カニツリグサ、アオスゲ、シバスゲ、ツボクサ、
シケシダ、タツナミソウ、オオジシバリ<などとともに生育している。


最終更新日:25th.May.2011

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