アゼトウナ | Crepidiastrum keiskeanum (Maxim.) Nakai | ||
海岸・岩上の植物 兵庫県RDB Cランク種 | キク科 アゼトウナ属 |
Fig.1 (三重県志摩市・海岸の崖地 2015.11/27) |
||
Fig.2 (三重県志摩市・海岸の崖地 2015.11/16) 日当たり良い海岸の岩上に生育する亜低木。 主幹は葉をつけるだけで年を経て生育し、大きくなると葉腋から側枝を出す。 側枝の下部は10〜20cmほどまで地につき、上部は上向し、高さはふつう10cmほどになる。 根生葉は開花時に生きていることもあれば、枯れていることもあり、長さ4.2〜9cm。 側枝の葉はやや等間隔につき、基部は茎を抱かないか、わずかに茎を抱く。 花は黄色。頭花は側枝の先に密散房状につく。総苞は筒状で、内片は7〜8個、外片は短くて1〜2列。 花冠は長さ12〜13mm。痩果は紡錘形で、やや扁平。冠毛は長さ約5mm、毛が多い。 ワダン(C. platyphyllum)は総苞が細く、総苞内片は5個、枝につく葉は上部ほど密生し、下部の葉は開花時に枯れる。千葉〜静岡、伊豆七島。 ホソバワダン(C. lanceolatum)は側枝の葉が下部ほど密生し、基部は広く茎を抱く。根生葉は開花時に残り長さ5〜15cm。花冠の長さ9〜10mm。島根県〜沖縄。Fig.11〜参照。 近縁種 : ワダン、 ホソバワダン ■分布:本州(伊豆半島以西)、四国、九州(宮崎県・大分県)の太平洋岸 ■生育環境:日当たり良い海岸の岩上など。 ■花期:8〜12月 |
||
↑Fig.3 根生葉。(三重県志摩市・海岸の崖地 2015.11/27) 根生葉はロゼット状に展開し、やや肉質、さじ状、鈍く粗い鋸歯があり、長さ4.2〜9cm。 |
||
↑Fig.4 主幹と側枝。(三重県志摩市・海岸の崖地 2015.11/27) 主幹は葉をつけるだけで年を経て生育し、大きくなると葉腋から側枝を出し、頭花は側枝の先につく。 |
||
↑Fig.5 側枝の葉。(三重県志摩市・海岸の崖地 2015.11/16) 枝の葉はやや等間隔につき、長楕円形〜狭倒卵形、基部は茎を抱かないか、わずかに茎を抱く。 |
||
↑Fig.6 開花期。(三重県志摩市・海岸の崖地 2015.11/27) 花は黄色。頭花は側枝の先に密散房状につく。 |
||
↑Fig.7 総苞。(三重県志摩市・海岸の崖地 2015.11/16) 総苞は筒状、ワダンより少し太く、内片は7〜8個、外片は短くて1〜2列。 |
||
↑Fig.8 頭花。(三重県志摩市・海岸の崖地 2015.11/27) 頭花は全て両性の舌状花からなり、先に5歯があり、花冠は長さ12〜13mm。 |
生育環境と生態 |
Fig.9 海岸の崖地に生育するアゼトウナ。(三重県志摩市・海岸の崖地 2015.11/16) 砂浜に面した四万十層群の崖地に多数のアゼトウナが生育していた。 同所的にオニヤブソテツ、トベラ、シャリンバイ、ツヤスミレなどが生育している。 |
||
Fig.10 海崖上部の急傾斜地にアゼトウナ。(三重県志摩市・海岸の崖地 2015.11/27) 海崖上部の礫交じりの急傾斜地にハイネズ、ハマヒサカキ、ヒゲスゲ、ハマエノコロ、キイシオギクなどとともに生育している。 アゼトウナには裸地〜半裸地的な環境が不可欠に見え、表土の少ない場所でも果敢に生きているようだ。 表土の多い場所ではハチジョウススキやハマカンゾウ、低木に優占され、アゼトウナの入り込む余地はあまりない。 |
参考画像----------ホソバワダン---------- |
Fig.11 ホソバワダン Crepidiastrum lanceolatum (Houtt.) Nakai (長崎県平戸島・海岸の岩上 2009.10/25) ホソバワダンは本州の島根・山口、九州の東シナ海沿岸、沖縄に生育する。 側枝につく葉の基部は茎を抱き、花冠はアゼトウナより少し小さい。 |
||
↑Fig.12 ホソバワダンの根生葉。(長崎県平戸島・海岸の砂礫地 2009.10/25) 根生葉はアゼトウナよりも大きく、ほとんど全縁で、あまり肉質とならない。 |
||
Fig.13 ホソバワダンの生育環境。(長崎県平戸島・海岸 2009.10/25) アゼトウナと同じく、岩上の割れ目や裸地〜半裸地状の場所に生育している。 ここでは海崖のテラス状になった半裸地でイソアオスゲ、ハマエノコロ、ボタンボウフウ、ダルマギクなどと生育していた。 |