イヌガンソク Onoclea orientalis  (Hook.) Hook.
  山地・里山・林縁・林床のシダ イワデンダ科 コウヤワラビ属
Fig.1 (西宮市・多湿な林縁 2011.6/23)

Fig.2 (西宮市・渓流畔 2014.7/29)

山地や里山の湿った林縁や林床に生育する夏緑性の大型のシダ。
根茎は短く、匍匐するか斜上し、葉は込み合ってつき、鱗片がある。
鱗片は広披針形〜線状披針形、長鋭尖頭、長さ0.7〜2cm、全縁で、光沢のある淡褐色、膜質。
葉は2形。栄養葉の葉柄は長さ20〜80cm、わら色で、まばらに鱗片がある。
葉身は卵状広楕円形、単羽状、長さ30〜80cm、幅20〜40cm。葉質は紙質、深緑色、軸にまばらな鱗片があるほかは鱗片も毛もない。
羽片は狭披針形、基部に向けてわずかに狭くなり切形、短柄があり、浅裂〜中裂し、基部の羽片がとくに短くなることはない。脈は全て遊離。
胞子葉は短く、枯葉は冬季も残る。葉柄は長さ20〜50cm、葉身は単羽状、羽片は裏面に反り返ってつき無柄、長さ4〜12cm、幅5〜6mm、
辺縁は内側に深く巻き込んで棒状になる。側脈は分岐し、先端に胞子嚢群をつける。

【メモ】 冬季も残る胞子葉はユニークな形状から、生花の花材としてよく用いられる。

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 東アジア
■生育環境:山地や里山の湿った林縁や林床など。

Fig.3 葉身。(兵庫県新温泉町・山間の細流脇 2011.5/26)
  葉身は卵状広楕円形、単羽状。
  羽片は狭披針形、基部に向けてわずかに狭くなり切形、短柄があり、浅裂〜中裂し、基部の羽片がとくに短くなることはない。

Fig.4 葉先。(西宮市・多湿な林縁 2011.6/23)
  葉先は急に狭くなり、その先は頂羽片状となることが多い。


Fig.5 年を越した胞子葉。(兵庫県篠山市・河畔 2009.4/12)
  胞子葉は冬季も残る。形状がユニークであるため、花材として利用されている。

Fig.6 春の展葉。(兵庫県宍粟市・林道脇斜面 2013.5/8)
  フィドルヘッドの状態で葉柄部が長く伸びて特異的である。

生育環境と生態
Fig.7 林道脇の湿った林縁斜面に生育するイヌガンソク。(西宮市・多湿な林縁 2011.6/23)
舗装された林道脇に状態の良い常緑・落葉混交林があり、林縁部の多湿な半日陰の斜面にイヌガンソクが1株生育していた。
乾いた土壌の多い西宮市内では貴重な環境であり、市内ではそのような場所にイヌガンソクが現れる。
シダ類は多くイノデが群生し、ヤブソテツ、ヤマヤブソテツ、シケシダ、ヤマイヌワラビ、ヒロハイヌワラビ、イノモトソウ、オオバノイノモトソウ、
ゲジゲジシダ、イヌシダ、ベニシダ、リョウメンシダ、キヨタキシダなどが生育する。

Fig.8 山間の細流脇に生育するイヌガンソク。(兵庫県新温泉町・山間の細流脇 2011.5/26)
照葉樹の多いあまり人の手の入っていない海岸近くの山間の細流脇にリョウメンシダ、ジュウモンジシダ、ヤワラシダ、シシガシラなどとともに生育。


最終更新日:11th.Nov.2014

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