イチヤクソウ Pyrola japonica  Klenze
  里山・林床・林縁の植物 イチヤクソウ科 イチヤクソウ属
Fig.1 (西宮市・照葉樹林の林縁 2010.6/11)
丘陵〜低山、里山の落葉広葉樹林の林床、林縁に生育する多年草。
細い地下茎があり、その先から葉を束生する。
葉は長さ2〜5cmの太い柄があり、葉身は卵状楕円形または広楕円形、長さ3〜6cm、幅2〜4cm、鈍頭。
葉縁には細かな鋸歯があり、基部は鈍形かややとがって少し柄の方に流れる。
花茎は高さ15〜25cmで直立し、総状花序に3〜10個の花をつける。
花茎には鱗片葉がないか、1個の披針形、鋭頭の鱗片葉がある。
苞は狭披針形で、先はしだいにとがる。萼片は披針形でとがり、長さは幅の2〜3倍あり、長さ3〜5mm、幅1.2〜1.5mm。
花は白色で、広鐘形、径約13mm。花柱は湾曲し、長さ5〜7mm、柱頭は5裂する。刮ハは径6〜7mm。
近縁種 : マルバノイチヤクソウ、ベニバナイチヤクソウ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国東北部
■生育環境:里山の林縁、落葉広葉樹の疎林内など。
■花期:6〜7月

Fig.2 葉。(西宮市・雑木林の林床 2011.3/15)
  葉は地下茎の先端から束生し、地表に広がり、ロゼット状をなす。
  葉には太い柄があり、葉身は卵状楕円形または広楕円形、鈍頭、縁には鋸歯がある。

Fig.3 前年の葉と新葉。(西宮市・雑木林の林床 2010.5/29)
  画像の濃緑色の葉は前年の葉で、みずみずしい淡緑色は当年に出た葉。

Fig.4 つぼみをつけた花茎。(西宮市・雑木林の林床 2010.5/29)
  花茎は直立し、上部に総状花序をつくる。総状花序には3〜10花がつく。
  花茎中部に鱗片葉が1個あるのが見える。

Fig.5 イチヤクソウの花。(兵庫県篠山市・雑木林の林床 2010.6/14)
  花は広鐘状で下向きにつく。花弁はやや肉質で5個離生してつき、白色。
  雄蕊は10個。葯は2室あり、開花すると反転して上端が下側となり、下側に開口部があり、花粉を放出する。
  子房は上位で5室あり、花柱は雄蕊よりも長く、湾曲し、柱頭は5裂する。
  画像では雄蕊の葯の先に開口部がよく見えている。

Fig.6 春先まで残った刮ハの殻。(西宮市・雑木林の林床 2011.3/15)

Fig.7 冬期のロゼット。(兵庫県三田市・雑木林の林床 2011.1/20)
  冬期も常緑で越冬する。前年の花茎が枯れたまま残っていた。

生育環境と生態
Fig.8 照葉樹林の林縁に点在するイチヤクソウ。(西宮市・照葉樹林の林縁 2010.6/11)
川沿いにある照葉樹林の歩道の林縁に数個体が点在していた。周辺にはまばらにネザサが生え、クラマゴケ、ヒメカンアオイ、コスミレ、
コモチマンネングサ、ヘクソカズラ、スイカズラなどが見られた。


最終更新日:24th.Mar.2011

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