オドリコソウ      Lamium album  L.
 var. barbatum  (Sieb. et Zucc.) Franch. et Savat.
  里山・林縁・道端の植物 シソ科 オドリコソウ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・小河川の堤防 2010.4/28)

Fig.2 (大阪府高槻市・河川敷 2013.4/16)

里山の林縁や道端などに生育する多年草。
茎は群がって直立し、4稜あってやや太く、高さ30〜50cm、無毛または節に粗い長い毛がある。
葉は卵状3角形〜広卵形、上部のものは卵形となり、先はするどくどがるかまたはやや鈍く、長さ5〜10cm、幅3〜6cm、
裏面脈上および表面にまばらに毛があり、縁には粗い鋸歯があり、基部は浅心形で1〜5cmの葉柄がある。
花は上部の葉腋につき、白色〜微紅色、長さ3〜3.5cm、花筒は基部で湾曲して立ち上がり、前面がふくらみ、大きく唇形となって、
上唇はやや平たい兜状で、縁に長い毛がある。下唇は反曲して側裂片は小さい突起状となり、中央裂片は大きく開出して2浅裂し、虫の止まる足場をつくる。
分果はくさび状倒卵形で3稜があり、長さ約3.3mm。

【メモ】 兵庫県下には広く分布するが、どういうわけか阪神間では稀である。
近縁種 : ヒメオドリコソウ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国
■生育環境:里山の林縁、道端、疎林内の林床など。
■花期:4〜6月

Fig.3 開花期のオドリコソウ。(兵庫県丹波市・林縁道端 2010.5/8)
  茎は直立し、4稜あり、節間は無毛。葉は対生して卵状3角形〜広卵形、上部のものは卵形、鋸歯は粗い。
  葉先は鋭頭〜やや鈍頭。基部は浅い心形となる。

Fig.4 オドリコソウの花。(兵庫県丹波市・林縁道端 2010.5/8)
  花は葉腋に輪生状につき、前面は張り出して唇形花となる。上唇はやや平たい兜状。下唇の中央裂片は吸蜜する昆虫の足場となる。

Fig.5 白花品。(兵庫県丹波市・道端 2009.5/5)
  ときに紅色の色素を完全に欠いた白花品が混じる。

Fig.6 オドリコソウで休むモンシロチョウ。(兵庫県篠山市・水田の畦 2009.4/17)

Fig.7 萼裂片と分果。(兵庫県篠山市・農道脇 2010.5/29)
  萼は5深裂し、裂片の先は長く伸び、背面には開出毛が多い。萼筒内には分果が成熟している。
  分果はくさび状倒卵形で3稜がある。

Fig.8 ウドンコ病に罹災したオドリコソウの群落。(兵庫県丹波市・林床 2010.5/8)
  オドリコソウは近縁種のホトケノザやヒメオドリコソウとともにウドンコ病に罹っている集団をよく眼にする。

Fig.9 成長期の春先の草体。(兵庫県丹波市・林床 2011.3/21)
  この時期のものはヒメオドリコソウとよく似るが、葉は少し大きく、やや繊細に見える。

生育環境と生態
Fig.10 山村の道端に群れ咲くオドリコソウ。(兵庫県丹波市・道端 2010.5/8)
  里山では道端の溝の縁に群れ咲いているのをよく見かける。

Fig.11 河畔の林下に群生するオドリコソウ。(兵庫県丹波市・河畔 2010.5/8)
  河川の脇の林下の草地で、ウマノアシガタ(黄色い花)とともに初夏のお花畑をつくっていた。

Fig.12 河川敷で群生するオドリコソウ。(大阪府高槻市・河川敷 2013.4/16)
  アシ原の切れた本流のそばの原野状の場所に群生している。
  周辺にはアシの他、ヤエムグラ、ウマノアシガタ、クサノオウ、カキドオシ、ヨモギ、セイタカアワダチソウが生育する。


最終更新日:22nd.June.2015

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