オカタイトゴメ Sedum oryzifolium  Makino
 var. pumilum  H.Ohba
  市街・宅地の植物・帰化植物 ベンケイソウ科 マンネングサ属
Fig.1 (西宮市・海岸の防潮堤 2010.7/2)
街路の花壇や道端、宅地周辺、街中の畑地の縁などに生育する多年草。
原産地不明の園芸種が逸出したものが各所で野生状に殖えている。
茎は高さ4〜8cm、葉は長楕円形で密に互生し、長さ約3mm、幅1.5〜2mm、円頭、断面は半月形、辺縁には微小な突起がある。
花は茎頂の集散状の花序に数花をつけるか、茎上部の葉腋につき、黄色、径約8mm。
花弁は広披針形、長さ約4mm、雄蕊は花弁より短く、葯は黄色。
袋果は開出する。

【メモ】 マンネングサ属のものは、慣れないうちは区別の難しいものが多い。以下に近似4種の比較表を作ってみた。
     表作成にあたっては平凡社の日本の野生植物 草本編 U、保育社の原色日本植物図鑑 草本編 U、神奈川県植物誌 2001を参照し、
     うちオカタイトゴメについては今回の観察を反映した部分もある。
     ヨコハママンネングサとモリムラマンネングサは同一種の異名とする説があるが、その成否は不明のようである。
 タイトゴメ
 Sedum oryzifolium
 オカタイトゴメ
 S. oryzifolium var. pumilum
 メノマンネングサ
 Sedum japonicum
 ヨコハママンネングサ
 Sedum sp.
 高さ  5-12cm  4-8cm  10-15cm  3-10cm
 葉序  互生  互生  互生  3輪生
 葉形  円柱状長楕円形
 〜円柱状倒卵形
 長楕円形  円柱形  
 葉横断面    半円形  やや平たい円形  扁円形
 葉長  3-7mm  約3mm  6-18mm  6mm以下
 葉幅  2-3.5mm  1.5-2mm  2-3mm  1.8mm
 葉先  やや円頭  円頭  鈍頭  円頭または鈍頭
 小突起  なし  あり(微小)  なし  あり
 花径  1cm以上  8mm以下  1cm以上  
 袋果  ふつう斜上  開出  開出  
近縁種 : タイトゴメ、メノマンネングサ、ヨコハママンネングサ、モリムラマンネングサ

■分布:実態は不明
■生育環境:道端、宅地周辺、街中の畑の縁など。
■花期:6〜7月

Fig.2 茎と葉。(西宮市・海岸の防潮堤 2010.7/2)
  茎の下部は地表をはい、分枝する。葉は互生してつき、下方ではまばらで、上部では密につく。

Fig.3 密生する茎。(西宮市・海岸の防潮堤 2010.7/2)
  茎は多数分枝してマット状に地表を覆い、茎下部は見えないことが多い。

Fig.4 オカタイトゴメの葉。(西宮市・海岸の防潮堤 2010.7/2)
  葉は長楕円形で、円頭。葉の縁には小突起があるが、成葉では解りにくく、茎頂付近の小さな葉のほうが解りやすい。次項参照。

Fig.5 茎頂部の葉。(西宮市・海岸の防潮堤 2010.7/2)
  拡大すると小突起のため葉縁がざらついた感じに見える。

Fig.6 葉の横断面。(西宮市・海岸の防潮堤 2010.7/2)

Fig.7 開花期のオカタイトゴメ。(西宮市・海岸の防潮堤 2010.7/2)

Fig.8 花の拡大。(西宮市・海岸の防潮堤 2010.7/2)
  花径は約8mmで、タイトゴメよりも小さい。葯は黄色。花柱は斜開する。

Fig.9 袋果は平開する。(西宮市・海岸の防潮堤 2010.7/2)

Fig.10 種子。(西宮市・海岸の防潮堤 2010.7/2)
  種子は卵形で中部がわずかにくびれ、表面に微小は突起が並ぶ。
  1個の袋果中には1〜3個の熟した種子と多数の不稔の種子が入っていた。

生育環境と生態
Fig.11 防潮堤の隙間に群生するオカタイトゴメ。(西宮市・海岸の防潮堤 2010.7/2)
防潮堤の陸側にある住宅地の周辺にはオカタイトゴメが道端の花壇で密生しており、海岸の防潮堤にはオカタイトゴメがまるでタイトゴメのように群生している。


最終更新日:10th.July.2010

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