ウスツメゴケ Peltigera degenii  Gyeln.
  里山・山地の地衣類 ツメゴケ科 ツメゴケ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・棚田の土手石垣 2011.3/8)

Fig.2 (兵庫県丹波市・渓流の岩上 2013.1/24)

里山や、やや山地寄りのやや湿った地上に生じる地衣類。共生藻は藍藻。
地衣体は葉状、淡灰褐色〜暗褐色、湿った時は濃褐色、薄手で柔軟、背面にトメンタはなく平滑、頭状体はない。
腹面は白色で、裂芽も粉芽もないが、葉縁は一部で細裂することがある。
偽根は単一または少し叢生する。
近縁種 : イヌツメゴケ、アカツメゴケ、チヂレツメゴケ、コフキツメゴケ、モミジツメゴケなど

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ ヨーロッパ、北アメリカ
■生育環境:山地、里山の地上など。

Fig.3 地衣体背面と子器。(兵庫県篠山市・棚田の土手石垣 2011.3/8)
  背面は平滑で、湿ると濃褐色となり、トメンタ(tomentum : 地衣体の腹面や背面に生じる綿毛状のもの)はない。
  ウスツメゴケは緑藻とは共生しないため、頭状体は生じない。子器は橙黄色、乾くと黄色となる。

Fig.4 地衣体の縁から偽根が見えている。(兵庫県篠山市・棚田の土手石垣 2011.3/8)

Fig.5 地衣体の腹面。(兵庫県篠山市・棚田の土手石垣 2011.3/8)
  腹面は白色で、脈は膨出して明瞭で、白色〜淡褐色、ところどころで相互に交叉する。
  偽根はほとんどが単生し、稀に数本が叢生する。

Fig.6 子器の拡大。(兵庫県篠山市・棚田の土手石垣 2011.3/8)
  子器は裂片の上端につき、爪状、橙黄色で、乾くと黄色となる。
  子器の下部はいちじるしくくびれることはなく、地衣体にぴったりとつく。

生育環境と生態
Fig.7 棚田の土手上に生育するウスツメゴケ。(兵庫県篠山市・棚田の土手 2011.3/8)
多くの蘚類が生育する棚田の湿った土手の蘚類上に生育しており、子器の数が他所のものに比べて非常に多い。
維管束植物ではヤマネコノメソウ、ヒメヨツバムグラ、ミミナグサ、トウバナ、イチリンソウなどが見られる。

Fig.8 山地の渓流の岩上に生育するウスツメゴケ。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩上 2011.3/31)
渓流畔にある苔むしたやや乾いた岩上の蘚類上に付着しているもので、地衣体は乾いて淡灰褐色〜灰褐色となり、子器は淡色となっている。
蘚類はシノブゴケの仲間やクサゴケの仲間など。


最終更新日:5th.Mar.2014

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