ウツボグサ | Prunella vulgaris L. subsp. asiatica (Nakai) Hara |
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里山・草地・畦の植物 | シソ科 ウツボグサ |
Fig.1 (西宮市・水田の畦 2010.6/21) |
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Fig.2 (兵庫県朝来市・溜池土堤 2011.6/19) 丘陵〜低山の里山の草地、畦、路傍に生育する多年草。 茎は高さ10〜30cm、花が終わる頃から短い走出枝を出す。 葉は数対あり、1〜3cmの葉柄があり、卵状長楕円形、長さ2〜5cm、少数の低い鋸歯があり、鈍頭、基部はくさび形または円形。 花は茎頂に密な花穂をつくり、苞は扁心形で縁に毛がある。萼は長さ7〜10mm。 花冠は紫色で長さ1.5〜2cm、下唇は3裂し、中央裂片には歯牙がある。分果は長さ約1.6mm。 近縁種 : ミヤマウツボグサ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 東アジア〜シベリア東部 ■生育環境:里山の草地、畦、路傍など。 ■花期:6〜8月 |
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↑Fig.3 茎と葉。(西宮市・棚田の草地斜面 2010.6/24) 茎は直立し、方形、稜上には軟毛が生える。茎は下方の葉腋から分枝する。 葉は対生し、卵状長楕円形、少数の低い鋸歯があり、鈍頭、基部はくさび形または円形で、葉柄がある。 |
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↑Fig.4 無花茎。(西宮市・路傍の草地 2010.6/24) 前年から越冬したロゼットは節間の詰まった無花茎となり、花茎は地下茎から新たに生じる。 |
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↑Fig.5 花序。(西宮市・水田の畦 2010.6/21) 花序は茎頂に単生し、紫色の花を密につける。苞は扁心形で、画像では花序最下のものが解りやすい。 |
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↑Fig.6 花序のつぼみ部分の拡大。(西宮市・水田の畦 2010.6/21) 萼は筒状唇形。上唇は背面が平らで先は切形で、低い3歯があり、下唇は2裂する。 |
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↑Fig.7 花の拡大。(西宮市・水田の畦 2010.6/21) 花冠はふつう紫色、唇形、上唇はかぶと状、下唇は3裂、中央裂片は大きく縁は歯牙状に細裂する。 |
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↑Fig.8 訪花したキバネセセリ。(西宮市・水田の畦 2008.6/28) ウツボグサにはハナバチ類のほか、セセリチョウの仲間が訪花に来ることが多い。 |
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↑Fig.9 訪花したヒメキマダラセセリ。(兵庫県養父市・ススキ草原 2015.7/19) 幼虫はススキなどのイネ科草本やカヤツリグサ科草本をホストとする。 |
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↑Fig.10 花後の花序。(兵庫県丹波市・農道脇草地 2010.7/23) 花後、萼筒は閉じて花序は花茎とともに枯れるが、枯れた状態のまま茎と花序は宿存する。 夏場にこの姿が目立つためカゴソウ(夏枯草)の別名があり、干したものが薬用として使われた。 |
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↑Fig.11 越冬ロゼット。(兵庫県三田市・溜池土堤 2011.1/24) 冬期は紫色を帯びた毛深いロゼット葉を地表に広げて越冬する。 |
生育環境と生態 |
Fig.12 棚田の草地斜面に群生するウツボグサ。(西宮市・棚田の草地斜面 2010.6/24) 草刈りされて矮小化したネザサ、ススキ、チガヤを主体とする草地に大きな群生が見られた。 同所的にミヤコグサ、ノアザミ、コウゾリナ、セイタカアワダチソウ、スズサイコ、ヤマツツジ、ホラシノブ、ゲジゲジシダなどが生育。 |
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Fig.13 棚田の畦に生育するウツボグサ。(西宮市・棚田の畦 2010.6/24) 草刈りされて踏み付けに遭い、矮小化して開花している。 |
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Fig.14 墓地の草地に生育するウツボグサ。(西宮市・墓地 2010.7/9) 里山の墓地の草地に群生していた。ここではアリマイトスゲ、ヒメヤブラン、ネコハギ、ミヤコグサ、コチヂミザサ、ヘクソカズラ、ナツフジ、オカトラノオ、 ヨモギ、ノアザミ、アキノタムラソウ、ミヤマナルコユリなどとともに見られた。 |