バイカオウレン Coptis quinquefolia  Miq.
  山地の植物 キンポウゲ科 オウレン属
Fig.1 (兵庫県篠山市・植林地の林縁斜面 2014.3/24)

Fig.2 (兵庫県篠山市・植林地の林縁斜面 2014.3/24)

温帯〜亜高山帯の針葉樹林の林縁や林床に生育する多年草。
塊茎は細長くて横にはい、匐枝を出して繁殖する。
根生葉はやや厚く光沢があり、鳥足状複葉で、小葉は5枚、倒卵形、基部はくさび状でほぼ無柄、3中裂し、鋭鋸歯がある。
花茎は高さ4〜15cmで、上部に小型の苞があり、1個の花を頂生する。
花は上向きに開き、径12〜18mm、萼片は5枚で、倒卵形、白色、花弁は黄色で舷部は浅い杯状。
袋果は長さ6〜9mm、柄は5〜6mm、花柱は短く1mm以下、側壁に1本の縦脈がある。

シコクバイカオウレン(var. shikokumontana)は近年になってバイカオウレンから変種として分けられたもので、花弁の舷部がコップ状となり、
花柱が強く反曲し、四国に分布する。
近縁種 : シコクバイカオウレン、 オウレン、 セリバオウレン
■分布:本州
■生育環境:温帯〜亜高山帯の針葉樹林の林縁や林床など。
■花期:3〜5月

Fig.3 根生葉。(兵庫県篠山市・植林地の林縁斜面 2014.3/14)
  根生葉はやや厚く光沢があり、鳥足状複葉で、小葉は5枚、倒卵形、基部はくさび状でほぼ無柄、3中裂し、鋭鋸歯がある。

Fig.4 開花した花。(兵庫県篠山市・植林地の林縁斜面 2014.3/24)
  花茎は高さ4〜15cmで、上部に小型の苞があり、1個の花を頂生する。中央下の花茎上部に、ピンボケだがわずかに苞が見える。

Fig.5 上向きに開きに開いた花。(兵庫県篠山市・植林地の林縁斜面 2014.3/24)
  花は径12〜18mm、萼片は5枚で、倒卵形、白色。

Fig.6 花の中心部。(兵庫県篠山市・植林地の林縁斜面 2014.3/24)
  大きな白色の萼に対して、小さく目立たない黄色杯状のものが花弁で、蜜を分泌する。このため、花弁は蜜弁と呼ばれることもある。
  雄蕊は多数。雌蕊は数個〜十数個あり、有柄。花柱は短く1mm以下で、先端は外側に反る。

Fig.7 開花晩期の花。(兵庫県篠山市・植林地の林縁斜面 2013.4/11)
  すでに子房はふくらみ、花弁も色あせているが、萼は傷みながらもまだ残り、未だ裂開していない雄蕊もある。

Fig.8 果実期。(兵庫県篠山市・植林地の林縁斜面 2013.4/11)
  花後、花柄と雌蕊の柄は長く伸びる。袋果は表面が洋紙質で、輪状に開出し、上部の端には孔が開く。

生育環境と生態
Fig.9 セリバオウレンと混生するバイカオウレン。(兵庫県篠山市・林縁斜面 2014.3/24)
ハイゴケ、オオスギゴケ、トヤマシノブゴケ、オオシラガゴケなどの蘚苔類に覆われた林縁斜面でセリバオウレンと混生している。
他にショジョウバカマ、ジャノヒゲ、ヌカボシソウ、ヤブコウジなどが生育していた。

Fig.10 植林地の林床に群生するバイカオウレン。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.3/24)
ここでも林床は蘚類に覆われており、比較的湿度の高い斜面に群生している。
ここでは他にショウジョウバカマ、シシガシラ、ヒノキ幼木、ヒカゲツツジ幼木などが生育している。

最終更新日:11th.Aug.2014

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