ハマヒルガオ Calystegia soldanella  (L.) Roem. et Schult
  海浜・砂地の植物 ヒルガオ科 ヒルガオ属
Fig.1 (西宮市・海浜 2010.5/30)
海岸や湖岸の砂地に生育する多年草。
茎は無毛で砂上をはう。葉は腎円形、凹頭〜円頭、長さ2〜4cm、幅3〜5cm、無毛でやや厚く光沢がある。
花冠は淡紅色で、径4〜5cm、花柄は葉より長い。苞は広卵状3角形、長さ1〜1.3cm、鈍頭で微凸端。
刮ハは球形で大きく、種子は太くて黒色。
近縁種 : ヒルガオ、コヒルガオ

■分布:北海道、本州、四国、九州、沖縄 ・ アジア、ヨーロッパ、太平洋諸島、オーストラリア、アメリカ太平洋岸
■生育環境:海岸や湖岸の砂地。
■花期:5〜6月

Fig.2 茎と葉。(西宮市・海浜 2010.5/30)
  茎は地表をはって、分枝して広がる。
  葉は互生し、葉柄は長く、葉身は腎円形で、凹頭〜円頭、やや厚味があって、光沢がある。

Fig.3 開花期。(西宮市・海浜 2010.5/30)
  花は花柄が葉よりも長いため、マット状に広がった葉よりも上に出て開花する。

Fig.4 花冠。(西宮市・海浜 2010.5/30)
  花冠は径4〜5cmで、淡紅色、漏斗状で筒部は太い。萼片は5個あり、その下には2個の苞があり、萼を囲む。

Fig.5 雌蕊と雄蕊。(西宮市・海浜 2010.5/30)
  雌蕊は雄蕊よりも長く、1個つき、柱頭は2岐し、表面には凹凸が多い。
  雄蕊は5個、葯は長楕円形。

Fig.6 果実期。(兵庫県姫路市・砂浜 2011.6/15)
  果実は刮ハで4個の萼片と2個の苞とに包まれ、赤紫色を帯びている。

Fig.7 刮ハとその断面。(兵庫県姫路市・砂浜 2011.6/15)
  刮ハは球形で、残存した花柱が嘴となり、果皮はスポンジ状に肥厚する。

Fig.8 熟した刮ハと種子。(兵庫県姫路市・砂浜 2011.6/15)
  熟した刮ハでは、スポンジ状となっていた果皮は痩せる。種子は黒色で広卵形、アサガオの種よりも大きく、丸みを帯びる。

生育環境と生態
Fig.9 砂浜に生育するハマヒルガオ。(西宮市・海浜 2008.5/29)
海浜の砂浜の高潮域に広く地表を覆うように生育している。
同所的にはハタガヤのほか、コマツヨイグサ、オオフタバムグラ、スズメノチャヒキ、アメリカスズメノヒエなど外来種が多い。

Fig.10 鉄道の土手に群生するハマヒルガオ。(西宮市・線路の土手 2010.5/30)
古くに敷設された鉄道の土手で群生しているもの。
敷設当時は海岸に近かったと思われ、周辺の水路には汽水域に生育するコウキヤガラが見られる。
この場所のハマヒルガオはコウキヤガラとともに、市街地化された埋立地内に残されたものだろう。

Fig.110 砂浜の高潮域にコウボウシバとともに群生するハマヒルガオ。(兵庫県新温泉町・砂浜 2011.5/26)
広い砂浜を持った自然度の高い海浜では地表に広がって群生・開花するのが見られる。
一般の海浜同様、コマツヨイグサ、ボウムギ、シロバナマンテマも侵入しているが、ハマヒルガオの勢力は強い。
この砂浜では最近は少なくなってしまったハマニガナやオニシバなどが生育する。


最終更新日:6th.Sept.2011

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