ハマナタマメ Canavalia lineata  (Thunb.) DC.
  海浜の植物 マメ科 ナタマメ属
Fig.1 (兵庫県姫路市・海浜 2013.8/1)
海岸の砂地に生育する多年草。基部は木質となるつる性草本で、長さ5m以上に達する。
茎は著しく伸張し、短い逆向きの圧毛をまばらにつけ、のちにやや無毛となる。
葉は羽状の3小葉、托葉、小托葉からなる。小葉は円形〜広倒卵形、やや革質、鋭頭または鈍頭、長さ5〜12cm、幅4〜10cm。
托葉は卵形で、鋭頭、長さ4〜5mm、早落性。。
花は総状花序につき、1花序に十数花をつけ、花は淡桃色、長さ2.5〜3cm、1節に1〜3個がつき、翼弁と竜骨弁はほぼ同長。
萼は長さ1cm内外、上萼唇の先は少し突き出る。豆果は長さ5〜10cm、幅3〜3.5cm、2〜5種子を入れる。
種子は褐色、楕円体、長軸約1.5cm、長いへそがある。

【メモ】 かつて一時期、西宮市内の海岸にも定着していたが、結実は見られず、今では見られなくなってしまった。
近縁種 : 

■分布:本州、四国、九州、沖縄、小笠原 ・ 台湾、中国
■生育環境:海岸の砂地など。
■花期:6〜9月

Fig.2 茎と葉。(兵庫県南あわじ市・海浜 2010.11/28)
  茎は地表をながく伸び、葉を互生する。葉は3小葉で、小葉は円形〜広倒卵形、やや革質、鋭頭または鈍頭。
  小葉は生育の盛んで葉の混み合う夏場はFig.1に見られるように半ば立ち上がっていることが多いが、晩秋は平開しているものが多い。

Fig.3 托葉(黄矢印)など。(兵庫県南あわじ市・海浜 2013.12/1)
  葉柄基部の托葉は小さく、卵形。葉柄基部は少し膨らむ。若い茎や葉柄、羽軸には伏毛がある。
  3小葉のそれぞれの基部には小さな線状披針形で早落性の小托葉があるが、この画像では小さくて見にくい。

Fig.4 花序。(兵庫県姫路市・海浜 2013.8/1)
  花は総状花序につき、1花序に十数花をつけ、花は淡桃色、長さ2.5〜3cm、1節に1〜3個がつく。
  ふつう花序の下方の節には3個の花がつき、上部の節では1個となることが多い。

Fig.5 花。(兵庫県姫路市・海浜 2013.8/1)
  花序は下垂するため、花は上下が逆となり、旗弁が下にくる。旗弁は大型でほぼ円形で、淡桃色、基部は黄色。
  翼弁は竜骨弁を挟み込むように包み、翼弁と竜骨弁はほぼ同長。

Fig.6 未熟な豆果。(兵庫県姫路市・海浜 2013.8/1)
  一つの花序に0〜4個の豆果が見られ、1〜2個のものが多く見られた。

Fig.7 成熟直前の豆果。(兵庫県南あわじ市・海浜 2010.11/28)
  豆果は長楕円形で、長さ5〜10cm、幅3〜3.5cm、背側の縫合線に沿って隆起し、2〜5種子を入れる。

Fig.8 種子。(兵庫県南あわじ市・海浜 2010.11/28)
  種子は褐色、楕円体、長軸約1.5cm、長いへそがある。成熟した種子には毒があり、食用に適しない。

生育環境と生態
Fig.9 礫浜で生育するハマナタマメ。(兵庫県姫路市・海浜 2013.8/1)
比較的自然度の高い礫浜に点々とハマナタマメが生育していた。
同所的にテリハノイバラ、ママコノシリヌグイ、ハマサオトメカズラ、ハマナデシコ、ハマゴウ、ハマヒルガオ、アオカモジグサ、
ボウムギなどが生育していた。

Fig.10 砂浜に生育するハマナタマメ。(兵庫県姫路市・海浜 2013.8/1)
他所から砂を移入して造られたと思われる砂浜の一角にハマナタマメが生育していた。
手をいれられた砂浜であるため植生は乏しく、コウボウシバやハマヒルガオのほかはアメリカスズメノヒエらしきイネ科草本、コマツヨイグサ、
オオフタバムグラなどの外来種が多く見られた。


最終更新日:9th.Aug.2014

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