ハスノハカズラ | Stephania japonica (Thunb.) Miers | ||
沿海地・林縁の植物 | ツヅラフジ科 ハスノハカズラ属 |
Fig.1 (兵庫県淡路島・林道脇 2011.8/8) 沿海地の林縁などに生育する常緑のつる性木本。 全体無毛。葉は互生し、葉身は葉柄に楯状につき、3角状卵形、長さ6〜12cm、幅5〜10cm、全縁、裏面はやや白色を帯びる。 花序は複散形で葉腋につき、柄があり、淡緑色の小さな花を多数つける。 雄花には萼片6〜8個、花弁3〜4個があり、肉質。雄蕊は6個で合着し、葯は横裂する。 雌花は萼片と花弁ともに3〜4個、倒卵形で雄蕊はなく、子房は1個、柱頭は数個に分岐する。 核果は球形で平滑、径約6mm、熟すと朱紅色となる。内果皮は偏圧して背部は小卵形のいぼ状突起となり、側部は凹形となる。種子は馬蹄形。 【メモ】 兵庫県下では淡路島で見られ、シカの忌避植物として増加傾向にある。過去に伊丹市からの記録がある。 ■分布:本州(西部)、四国、九州、沖縄 ・ 中国中南部、台湾、インド、マレーシア ■生育環境:沿海地の林縁など。 ■花期:7〜9月 |
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↑Fig.2 葉。(兵庫県淡路島・林道脇 2011.8/8) 葉身は葉柄に楯状につくことから、葉をハスの葉に見立ててハスノハカズラの名がついた。葉身は3角状卵形、全縁。 |
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↑Fig.3 葉裏。(兵庫県淡路島・林道脇 2011.8/8) 葉裏はやや白色を帯び、葉脈が膨出して目立つ。 |
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↑Fig.4 花序。(兵庫県淡路島・林道脇 2011.8/8) 花序は複散形で葉腋につき、柄があり、淡緑色の小さな花を多数つける。 ハスノハカズラは雌雄異株で、画像のものは雄株で、雄花が開花中で、基部の葉は欠落している。 |
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↑Fig.5 雄花序。(兵庫県淡路島・林道脇 2011.8/8) 雄花の雄蕊は合着して花冠の中央に立ち上がり、円盤状の合着した大きな葯をつけ、熟すと横裂する。 雄花には萼片6〜8個、肉質の花弁3〜4個があり、花弁は萼片よりも短く、淡黄緑色。 |
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↑Fig.6 雌花序の小散形花序。(兵庫県淡路島・林道脇 2011.8/8) 雌花は萼片と花弁ともに3〜4個でごく小さく、倒卵形で雄蕊はなく、子房は1個、柱頭は数個に分岐する。 |
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↑Fig.7 果実形成期の未熟な果実。(兵庫県淡路島・林道脇 2011.8/8) |
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↑Fig.8 熟した果実。(三重県・海岸の林縁 2014.10/26) 核果は球形で平滑、径約6mm、熟すと朱紅色となる。 |
生育環境と生態 |
Fig.9 林道脇の荒れた枯れ沢に生育するハスノハカズラ。(兵庫県淡路島・林道脇 2011.8/8) ハスノハカズラはシカの忌避植物であり、シカの食害の激しい淡路島の南部では向陽〜半日陰地でつるを伸ばして四方に広がり群生する場所が見られる。 このようなシカの多い地域では、地表には食害のされにくい小形の匍匐性の草本がわずかに残るほかは、半裸地状の荒れた原野環境状となり、 そこにシカの忌避・不嗜好植物が群落を形成する。 匍匐性の小型の草本ではアワゴケ、トキンソウ、チドメグサ、アオイゴケ、ヒメクラマゴケ、コケトウバナが生き残り、林縁の草地ではハスノハカズラとともに 特定外来種であるナルトサワギクやヒオウギが見られる。 乾湿さまざまな条件が断続的に表れる林道脇では、ハスノハカズラとともにナガバヤブマオ、カギカズラ、テンナンショウ属植物、オニルリソウ、 オオバノイノモトソウ、ナチシダ、シタキソウ、ダンドボロギク(外来種)、ナルトサワギク、レモンエゴマなどが見られる。 |