ヒメヤブラン Liriope minor  (Maxim.) Makino
  里山・草地・林縁の植物 ユリ科 ヤブラン属
Fig.1 (西宮市・墓地の石垣 2010.7/9)
平地〜低山、とくに里山の草地、畦、林縁などに生育する多年草。
根茎は短く、葉を束生し、匐枝を出す。葉は線形で細く、幅1.5〜3mm、濃緑色、鈍頭ときに鋭頭。
花茎は高さ20cm以下で直立し、狭い翼がある。花は少数が穂状花序にまばらに斜め上向きにつき、淡紅色〜淡紫色ときに白色。
花被片は6個で離生し、雄蕊6個、花柱は円柱形で曲がって上を向く。果実は裸出した種子で、球形に黒く熟す。
近縁種 : コヤブラン、ヤブラン、ジャノヒゲ

■分布:北海道、本州、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島、中国、フィリピン
■生育環境:平地〜低山、とくに里山の草地、畦、林縁など。
■花期:7〜8月

Fig.2 葉は根際から束生する。(西宮市・墓地の草地 2010.7/9)
  葉は線形、幅1.5〜3mm、濃緑色、全縁で、多くは鈍頭、ときに鋭頭となる。

Fig.3 花茎。(西宮市・墓地の草地 2010.7/9)
  花茎は直立し、高さ20cm以下、開花開始時には葉よりも短く、開花が進むにつれて上に伸び、葉と同長程度となる。
  画像のものは開花が始まったばかりのもの。

Fig.4 花冠。(西宮市・墓地の草地 2010.7/9)
  花冠は斜め上向きにほぼ平開し、淡紅色〜淡紫色、ときに白色のものも出る。
  花被片は6個で離生し、内外花被片は同形で長楕円形。
  雄蕊6個、葯は長楕円形、花糸は葯より長く、中部は下垂して上部は前方に突き出る。
  雌蕊は1個、上向きに湾曲する。雄蕊・雌蕊のこのような形態は、自家受粉を避けようとする仕組みと考えられる。

Fig.5 果実期のヒメヤブラン。(西宮市・草地 2010.11/14)
  果実は裸出した種子で球形、黒色。草体の似たジャノヒゲの果実は、濃青色である点で区別できる。

生育環境と生態
Fig.6 墓地の石垣に生育するヒメヤブラン。(西宮市・墓地の石垣 2010.7/9)
ヒメヤブランは里山の草地や畦など、比較的手の入った場所によく見られ、手入れがなされる墓地にもよく生育している。
ここでは墓地の石垣やシバ地にヒメヤブランの群生が見られ、同所的にイワニガナ、ヒメヨツバムグラ、ネコハギ、オオバコ、スギナ、
チョウセンガリヤス、アリマウマノスズクサ、ツリガネニンジン、オニユリ、シラヤマギク、ノコンギク、ウツボグサ、ミヤコグサ、
アリマイトスゲ、ヘクソカズラ、ナツフジ、ヒメハギなどが見られた。


最終更新日:17th.Feb.2011

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