ヒメニラ Allium monanthum  Maxim.
  山地・野原の植物 兵庫県RDB Aランク種 ユリ科 ネギ属
Fig.1 (兵庫県丹波地方・林縁 2015.4/16)

山野に生える多年草。近畿地方では稀に見られる。
鱗茎は卵形で、長さ約10mm。葉は1〜2個が根生状に出て線形、長さ10〜30cm、幅3〜8mm、断面は三日月形。
花茎は細く、高さ5〜10cm、茎頂に1〜数個の花がつき、総苞は卵形膜質で裂けない。
花被片は6個、長楕円形で、長さ約4〜5mm、白色または微紅色。
花には雌性、雄性、雌雄両全性、雄性雌雄両全性、雌性雌雄同株性の5型があるが、雌性以外の性型はごく稀。
花柱は2〜3裂する。刮ハは球形。

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 千島、樺太、朝鮮半島、中国東北部、ウスリー
■生育環境:草原や林縁など。
■花期:4〜5月

Fig.2 葉。(兵庫県丹波地方・林縁 2015.4/16)
  葉は1〜2個が根生状に出て線形、粉白を帯びた緑色、長さ10〜30cm、幅3〜8mm、断面は三日月形。
  アマナやキバナノアマナの葉に似るが、両種の開花期に花を上げていない集団はヒメニラの可能性があり、注意する必要がある。

Fig.3 開花中の集団。(兵庫県丹波地方・林縁 2015.4/16)
  花茎は細く、倒れこんでいるものがほとんどだった。

Fig.4 花は茎頂に1〜数個つく。(兵庫県丹波地方・林縁 2015.4/16)

Fig.5 横からの花。(兵庫県丹波地方・林縁 2015.4/16)
  総苞は卵形膜質で裂けない。花被片は6個、長楕円形で、長さ約4〜5mm、白色または微紅色。

Fig.6 正面からの花。(兵庫県丹波地方・林縁 2015.4/16)
  花には雌性、雄性、雌雄両全性、雄性雌雄両全性、雌性雌雄同株性の5型があり、この集団は雌性集団だった。
  花茎に1個の花をつけるものは花柱が3個あるが、2個の花をつけたものは花柱が2個となっている。
  雌性以外の集団はごく稀だという。

生育環境と生態
Fig.7 林縁斜面に生育するヒメニラ。(兵庫県丹波地方・林縁 2015.4/16)
緑色岩地にある、放棄されたクリ園と植林地の境界の林縁斜面に生育している集団である。
シカによる食害の見られる地域で、同所的に生育しているヤマヤブソテツやツルボは食害を受けているが、ヒメニラは食害されていない。
この放棄されたクリ園内ではアズマイチゲ、キクザキイチゲ、イチリンソウ、キンキエンゴサクが見られるほか、レンプクソウの群落が広がりヒメニラとも混生している。
ヒメニラの集団中には他にヤマネコノメソウ、セントウソウ、カテンソウ、カキドオシなどが生育している。



最終更新日:3rd.Jun.2015

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