ヒオウギ | Belamcanda chinensis (L.) DC. | ||
山地・草地の植物 | アヤメ科 ヒオウギ属 |
Fig.1 (兵庫県新温泉町・海崖の草地 2011.7/27) |
||
Fig.2 (兵庫県養父市・棚田の土手 2016.8/16) 山地の草地、海岸の崖地などに生育する多年草。 葉は広い剣状で、その並び方が檜扇に似ているためこの名がある。 葉は長さ30〜50cm、幅2〜4cm、先がながくとがり、緑色で多少粉白を帯びる。 花茎は高さ60〜100cm、上部が2〜3分枝し、枝端に数個の膜質の苞がつき、その中から2〜3花が出る。 花は径3〜4cm、花被片は狭長楕円形、橙色で内面に暗赤色の斑点があり、内片はやや幅が広い。 3個の雄蕊は花柱を囲んで立ち、葯は線形で橙黄色、、長さ10mm内外で底着する。 刮ハは倒卵状楕円形で、長さ約3cm。種子は球形で径5mmほどあり、黒色で光沢が強く、「うば玉」「ぬば玉」などと呼ばれる。 近縁種 : ヒメヒオウギズイセン ■分布:本州、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島、中国、インド ■生育環境:山地の草地、海岸の崖地など。 ■花期:7〜9月 |
||
↑Fig.3 葉は扇状に広がる。(兵庫県新温泉町・海崖の草地 2011.7/27) 葉は剣状、長さ30〜50cm、幅2〜4cm、先がながくとがり、緑色で多少粉白を帯びる。 |
||
↑Fig.4 花茎。(兵庫県新温泉町・海崖の草地 2011.7/27) 花茎は高さ60〜100cm、上部が2〜3分枝し、枝端に数個の膜質の苞がつき、その中から2〜3花が出る。 |
||
↑Fig.5 花被。(兵庫県南あわじ市・林縁の草地 2011.8/8) 花は径3〜4cm、花被片は狭長楕円形、橙色で内面に暗赤色の斑点があり、内片はやや幅が広い。 3個の雄蕊は花柱を囲んで立ち、葯は線形で橙黄色、、長さ10mm内外で底着する。 |
||
↑Fig.6 横から見た花被。(兵庫県新温泉町・海崖の草地 2011.7/27) |
||
↑Fig.7 刮ハ。(三重県・海岸の草地 2014.10/26) 刮ハは秋に稔り、倒卵状楕円形で、長さ約3cm。付いている昆虫はオオツマグロヨコバイ。 |
||
↑Fig.8 裂開した刮ハ。(三重県・海岸の草地 2014.10/26) 種子は球形で径5mmほどあり、黒色で光沢が強く、「うば玉」「ぬば玉」などと呼ばれる。 |
生育環境と生態 |
Fig.9 海崖の草地に生育するヒオウギ。(兵庫県新温泉町・海崖の草地 2011.7/27) ススキ、ヨモギが優占する海崖の草地にヒオウギが点在していた。 人の手がほとんど入らず、強風に晒される機会も多いため、木本はイワガサ、ウツギなどの低木しか生育できず、草原性植物が豊富である。 ここではハマボッス、ハマベノギク、ニオウヤブマオ、ハマゼリ、イソアオスゲなどの海浜植物に混じって、オオバギボウシ、キジカクシ、ヤマハタザオ、 ツリガネニンジン、カワラナデシコ、アキカラマツ、ワレモコウ、コオニユリ、セリモドキ、アサツキ、ミソハギなどが生育している。 |
||
Fig.10 林縁の草地に群生するヒオウギ。(兵庫県南あわじ・林縁の草地 2011.8/8) まるで植栽されたかのように見えるこの群生は、シカの食害によってコントロールされたものである。 この地域ではシカの食害が激しく、シカの忌避植物や不嗜好植物が残って群落を形成する傾向がある。 ヒオウギはシカの不嗜好植物で、よほど飢えている時以外は口にせず、付近一帯で増加傾向にある。 周囲に見られる草地はハスノハカズラと特定外来生物のナルトサワギクからなり、いずれもシカの忌避植物である。 |