ヒトツボクロ Tipularia japonica  Matsum.
  里山・山地・林床の植物 兵庫県RDB Bランク種 ラン科 ヒトツボクロ属
Fig.1 (兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2014.6/3)
丘陵〜山地、里山の明るいアカマツ-コナラ林の林床に生育する多年草。
肥厚した偽球茎が数個連なり、葉と花茎をだす。
葉は1個つき、やや長い柄があり、卵状楕円形、鋭尖頭、表面は光沢のある深緑色、裏面は紫色。
花茎は直立し、細くて高さ20〜30cm、下半部に2〜3個の鞘状葉がある。
総状花序には短い柄のある小さな花を5〜10個、まばらにつける。苞は微細で痕跡的。
萼片と側花弁は狭倒披針形、鈍頭、長さ4mm。唇弁は倒卵形、長さ約3mm、3裂し、中裂片は広線形で前縁、円頭、側裂片には細歯牙がある。
距は淡紅紫色、長さ約5mmで下垂する。蕊柱は長さ約3mm。葯は広卵形。花粉塊は楕円形で4個。
ヒトツボクロモドキ(var. harae)は距がないもの。長崎県。
近縁種 : 特にない

■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島南部
■生育環境:丘陵〜山地の明るいアカマツ-コナラ林の林床など。
■花期:5〜6月

Fig.2 葉。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2014.6/3)
  葉は1個つき、やや長い柄があり、卵状楕円形、鋭尖頭、表面は光沢のある深緑色、裏面は紫色。

Fig.3 花茎の下半部に2〜3個の鞘状葉がある。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2014.6/3)

Fig.4 花序。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2014.6/3)
  総状花序には短い柄のある小さな花を5〜10個、まばらにつける。花序の下部の花はすでに開花が終わっている。

Fig.5 花は小さくて目立たない。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2014.6/3)

Fig.6 花。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2014.6/3)
  萼片と側花弁は同形で狭倒披針形、鈍頭。唇弁は倒卵形で3裂し、中裂片は広線形で前縁、円頭。側裂片には細歯牙がある。
  距は淡紅紫色、長さ約5mm。蕊柱は長さ約3mmと小さく、この画像からは詳細が解らない。

Fig.7 未熟な刮ハ。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2014.9/14)
  花序は途中から折れて最下のものだけがふくらんでいた。ふつう結実率は良いらしい。

Fig.8 新葉の芽。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2014.9/14)
  刮ハがふくらむ頃、葉はすでに枯死して消えていて、花茎の隣に新葉の芽が作られていた。

生育環境と生態
Fig.9 雑木林の林縁に生育するヒトツボクロ。(兵庫県丹波地方・雑木林の林床 2014.6/3)
ヒトツボクロらしきものがあると知らせを受けて確認に行ったが、見つけるのには一苦労した。
目印らしきものがなく、しかも葉はまわりの枯葉に紛れて、まるで保護色のようだ。
1個体しかなく花茎も細いうえに花も小さいため、これ以上引いた位置から撮影しても周囲のものに紛れて何だか解らなくなる。
カナラ-アカマツ林の開けた場所に生育しており、土壌はかなり乾燥している印象を受けた。


最終更新日:9th.Nov.2014

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