フシグロセンノウ | Silene miqueliana (Rohrb.) H.Ohashi et H.Nakai | ||
低山・林縁の植物 | ナデシコ科 マンテマ属 |
Fig.1 (兵庫県養父市・林縁 2016.8/16) |
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Fig.2 (兵庫県養父市・林縁 2015.8/2) 山地の林縁や林床などに生育する多年草。 茎は直立し、上部は枝を分け、まばらな軟毛があり、高さ50〜80cm、節はふつう黒褐色を帯び、ややふくらむ。 葉は卵形〜長楕円状披針形で、長さ5〜14cm、幅2.5〜5cm、鋭尖頭、基部は細まり、脈上と縁は有毛。 花はまばらに数個つく。萼は長円筒形で5裂し、長さ2.5〜3cm、無毛。 花弁は5個、弦部は広倒卵形、長さ2.5〜3cm、ほぼ全縁、朱赤色。 刮ハは長楕円形、先が5裂する。種子は腎形、黒色、小突起を密生し、長さ約1.5mm。 近縁種 : オグラセンノウ、エンビセンノウ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ■生育環境:山地の林縁や林床など。 ■花期:7〜10月 |
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↑Fig.3 茎。(兵庫県香美町・林床 2015.8/2) 茎は直立し、まばらな軟毛があり、節はふつう黒褐色を帯び、ややふくらむ。 |
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↑Fig.4 葉。(兵庫県香美町・林床 2015.8/2) 葉は対生し、卵形〜長楕円状披針形で、長さ5〜14cm、幅2.5〜5cm、鋭尖頭、基部は細まり、脈上と縁は有毛。 |
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↑Fig.5 開花した個体。(兵庫県香美町・林床 2015.8/2) 林床に生えるものは茎下方の葉は大きいが、上方のものは細くなり、上部の葉腋から枝を分け集散花序となる。 |
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↑Fig.6 花。(兵庫県香美町・林床 2015.8/2) 花はまばらに数個つく。萼は長円筒形で5裂し、長さ2.5〜3cm、無毛。 花弁は5個、弦部は広倒卵形、長さ2.5〜3cm、ほぼ全縁、朱赤色。 |
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↑Fig.7 花の一部拡大。(兵庫県養父市・林縁 2014.8/2) 雄蕊10個あるが、はじめ5個出て、後に残りのものが口部から出る。裂開前の葯は紫色。花柱は5個あるが、口部から外に出ない。 花弁の口部には1対の付属片がある。 |
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↑Fig.8 熟した刮ハ。(兵庫県香美町・林床 2015.10/30) 刮ハは長楕円形、熟すと先が5裂する。 |
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↑Fig.9 種子。(兵庫県香美町・林床 2015.10/30) 種子は腎形、黒色、小突起を密生し、長さ約1.5mm。 |
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↑Fig.10 種子表面の拡大。(兵庫県香美町・林床 2015.10/30) 突起の境界にはギザギザの濃色の溝がある。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 社寺林の林床に生育するフシグロセンノウ。(兵庫県香美町・林床 2015.8/2) スギが植林された社寺林のやや明るい林床にフシグロセンノウが点在していた。 適度に明るく湿り気のある林床で、フシグロセンノウとともに豊富な植生が見られた。 林床にはミヤマカンスゲ、ヒカゲスゲ、ナキリスゲ、ヌカボシソウ、ヤマジノホトトギス、ユキザサ、ホウチャクソウ、チゴユリ、シオデ、キクバドコロ、 ハナタデ、イタドリ、ムカゴイラクサ、アカソ、イノコヅチ、サンインスミレサイシン、シハイスミレ、オオタチツボスミレ、ナガバノタチツボスミレ、 ニョイスミレ、ヤマアジサイ、ツルアジサイ、トチバニンジン、バライチゴ、フジ、ヤブハギ、ノササゲ、ツルアリドオシ、ヤマルリソウ、ツルリンドウ、 クロバナヒキオコシ、オオカニコウモリ、ウスゲタマブキ、サカゲイノデ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダ、ホソバナライシダ、ヤマイヌワラビ、 ホソバイヌワラビ、ヒロハイヌワラビ、ゲジゲジシダ、ミゾシダなどが生育している。 |
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Fig.12 温帯林下部の林道脇に生育するフシグロセンノウ。(兵庫県養父市・林道脇 2015.8/16) 林道脇の岩場混じりの斜面にススキ、ノガリヤス、アオカモジグサ、ニシノホンモンジスゲ、ヤマノイモ、アカソ、イタドリ、フジカンゾウ、ウツギ、 カワミドリ、ソバナ、アキノキリンソウ、ヨモギとともに生育していた。 |