カナビキソウ Thesium chinense  Turcz.
  里山・草地の植物 ビャクダン科 カナビキソウ属
Fig.1 (西宮市・棚田の土手 2010.4/26)
Fig.2 (兵庫県篠山市・道端草地 2011.5/4)
低地〜低山、里山の草地に生育する多年草。緑色無毛で、多少粉白を帯びる。
根は細く、茎には稜があり、1または数個束生して、直立し、高さ10〜25cmになり、分枝は少なく、上に向かう。
葉は線形で、鋭頭、長さ2〜4cm。花は腋生し、小型で白色、短い花柄上に単生する。
苞および小苞は葉と同形、小苞は3個で、萼の下につく。
萼は筒状で、先は4〜5裂し、長さ2〜4mm、花弁はない。
果実は楕円状つぼ形で、長さ2〜2.3mm、先端に閉じた萼裂片をつけ、縦脈とその間の網目模様は隆起する。

【メモ】 本種は半寄生植物とされている。
     刈り込まれたススキやネザサの草地に最もよく見かけるので、おそらくイネ科の草本を奇主とするのだろう。
     兵庫県では棚田の土手や、溜池土堤などに必ず現われる種である。
近縁種 : 

■分布:北海道南部、本州、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島、中国、シベリア
■生育環境:河川敷、堤防、里山の棚田の土手などの日当たり良い草地。
■花期:4〜6月・秋に返り咲きする個体も多い

Fig.3 茎。(西宮市・棚田の土手 2010.4/26)
  茎は基部から束生または単生し、斜上し、無毛、稜がある。

Fig.4 葉。(西宮市・棚田の土手 2010.4/26)
  葉は互生し、線形で、鋭頭、長さ2〜4cm、粉白を帯びる。まれに微鋸歯を生じるものがある。

Fig.5 花。(西宮市・溜池土堤 2007.6/23)
  花には花弁はなく、萼が3〜5中裂し、白色となったもの。雄蕊は萼裂片と同数で、裂片の基部につく。
  萼の下には葉と同形の小苞が2個ある。

Fig.6 裂片が3個の花。(西宮市・棚田の土手 2010.4/26)
  花は3裂のものから5裂のものまで見られる。よく見ると雄蕊は4個あり、本来は4裂するはずのものなのかもしれない。

Fig.7 果実形成期。(兵庫県篠山市・溜池土堤 2010.8/23)
  果実は楕円状つぼ形で、長さ2〜2.3mm、先端に閉じた萼裂片をつける。

Fig.8 カナビキソウを食草とするシロヘリツチカメムシ。(西宮市・河川敷 2009.5/21)
  体調11〜14mmの小型のカメムシで、多くの府県で絶滅危惧種となっているが、兵庫県ではカナビキソウが多いためよく見られる。

Fig.9 シロヘリツチカメムシの親子。(兵庫県篠山市・溜池土堤 2013.5/24)
  小さくて赤い体色のものが幼虫。成虫・幼虫ともに刮ハに口吻を刺して果汁を吸っている。

Fig.10 春の出芽間もない個体。(兵庫県三田市・草地 2011.4/13)

生育環境と生態
Fig.11 里山の農道脇の草地に生育するカナビキソウ。(西宮市・農道脇草地 2011.4/21)
カナビキソウは市内の農地、溜池土堤、河川堤防、河川高水敷の芝地などいたるところで見られ、その個体数も多い。
ここではススキ、チガヤの生育する農道脇の草地で、ヒメハギ、ニガナ、アオスゲなどとともに生育している。

Fig.12 溜池土堤に生育するカナビキソウ。(西宮市・溜池土堤 2011.4/24)
草刈りの行われる溜池土堤に多くのカナビキソウが生育していた。
ここもススキ、チガヤが主体となる草地環境で、ツリガネニンジン、ミヤコグサ、アキノキリンソウ、ミツバツチグリ、ワレモコウなどが生育する。


最終更新日:5th.Oct.2014

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