カニツリグサ | Trisetum bifidum (Thumb.) Ohwi | ||
里山・草地・林縁の植物 | イネ科 カニツリグサ属 |
Fig.1 (西宮市・里山の草地 2010.5/9) |
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Fig.2 (兵庫県宝塚市・林縁草地 2010.6/11) 平地〜低山の里山の草地や林縁に生育する多年草。 植物体には軟毛があって、軟らかく、根茎は目立たず、茎は高さ40〜80cm。 葉は扁平で、やや幅が狭い。円錐花序は先が垂れ、披針形または狭卵形、光沢がある。 小穂は長さ6〜8mmで、2〜3個の小花からなる。 苞頴は不同長。護頴は厚い洋紙質でいちじるしくざらつき、黄褐色で長さ5〜7mm、長くとがった2小歯があり、背面はやや鈍い。 芒は護頴背面の上方から出て、長さ6〜10mm、膝折れしてよじれる。葯は長さ1mm前後。 近縁種 : ミヤマカニツリ ■分布:北海道、本州 ・ 朝鮮半島、中国 ■生育環境:平地〜低山の里山の草地や林縁など。 ■花期:5〜6月 |
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↑Fig.3 全草標本。(西宮市・農道脇 2010.6/6) 根茎は短く、叢生する。葉は茎にまばらにつき、葉鞘は下方のものは節間と同長またはやや長く、上方では節間よりも短い。 |
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↑Fig.4 開花直前の花序。(西宮市・里山の草地 2010.5/9) 花序は斜上し、開花直前でも先のほうは垂れている。 |
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↑Fig.5 開花中の花序。(西宮市・棚田の畦 2007.5/16) 花序は先が下垂し、黄褐色を帯び、光沢がある。小花の護頴の芒は長く、よじれてよく目立つ。 |
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↑Fig.6 花序の拡大。(西宮市・農道脇 2010.6/6) 小穂は花序にやや密につき、小穂は2〜3個の小花からなる。 |
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↑Fig.7 小花。(西宮市・農道脇 2010.6/6) 護頴は背面上方から、長さ6〜10mmの長い芒を生じる。芒は膝折れしてよじれる。護頴の先は2裂し2小歯となる。 |
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↑Fig.8 護頴表面には上向きの刺状突起があり、いちじるしくざらつく。(西宮市・農道脇 2010.6/6) |
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↑Fig.9 初夏も終わり頃に見られたちいさな花序。(西宮市・水田の畦 2010.6/28) 頻繁に草刈りのある畦に生育するものは開花期に刈り取られると、開花も終わり頃の時期に小さな花序を展開して開花するものが見られる。 |
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↑Fig.10 熟した花序。(西宮市・水田の畦 2008.6/28) 花序は褐色に色づき、芒は開出してモジャモジャとした印象を与える。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 里山の墓地草地に生育するカニツリグサ。(西宮市・里山の草地 2010.5/9) 墓地内の草丈の低い草地で生育している。草地は湧水のある湿った場所と土の固い乾いた場所とがあり、その中間ぐらいの場所に数多く生育している。 カニツリグサの生育する周辺ではヘビイチゴ、アオスゲ、ノゲヌカスゲ、キランソウ、ニョイスミレ、ハハコグサ、カンサイタンポポ、イワニガナ、ヒメジョオンなどが見られ、 より湿った場所ではオタルスゲ、ゴウソ、テキリスゲ、クサイチゴ、ヤブタバコ、キツネノボタン、コウガイゼキショウ、イグサなどが見られる。 より乾いた場所ではスズメノヤリ、メアオスゲ、ヒメスミレ、タチツボスミレ、カラスビシャク、センニンソウなどが見られた。 |
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Fig.12 棚田の草地斜面に生育するカニツリグサ。(西宮市・棚田の土手 2010.5/13) 西宮市内ではカニツリグサは棚田土手の草地斜面や溜池土堤の常在種である。 ここは比較的自然度の高い棚田で、アリマイトスゲ、アオスゲ、ノゲヌカスゲ、ノアザミ、ヨモギ、アキノタムラソウ、イタドリ、トボシガラ、ワレモコウ、 ゼンマイ、ミツバツチグリ、カナビキソウなどとともに見られた。 |