カラクサシダ Pleurosoriopsis makinoi  (Maxim. ex Makino) Fomin
  山地・岩上・樹幹のシダ ホウライシダ科 カラクサシダ属
Fig.1 (兵庫県丹波市・渓谷の岩上 2013.1/24)

Fig.2 (兵庫県篠山市・社寺の石垣 2015.1/21)

山地の湿った岩上や樹幹にコケに埋まりながら生育する冬緑性シダ。
根茎は長く、細く、コケの間を匍匐し、径約1mm、赤褐色の毛をつける。
葉柄は葉身と同長またはやや短く、長さ5cm以下で、緑色。
葉身は長卵状楕円形、鋭頭〜鈍頭、長さ1.5〜7cm、幅1〜2cm。羽片は三角状卵形〜長卵状楕円形、有柄。
裂片は卵状長楕円形、円頭〜鈍頭、全縁、両面に褐色の多細胞毛をつけ、葉質はやや厚めの紙質、深緑色。
ソーラスは裂片の脈上から中肋までつき、分岐して長く伸びるため、裂片の裏面いっぱいに広がって見える。包膜はない。

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ シベリア東部、中国、朝鮮半島
■生育環境:山地の岩上や樹幹など。

Fig.3 全草標本。(兵庫県丹波市・渓谷の岩上 2013.1/24)
  細長い根茎を持ち、まばらに葉がつく。葉柄は葉身と同長またはやや短く、緑色。
  葉身は長卵状楕円形、鋭頭〜鈍頭。

Fig.4 根茎。(兵庫県丹波市・渓谷の岩上 2013.1/24)
  径約1mm、赤褐色の毛をつけ、コケの中をはう。

Fig.5 葉身。(兵庫県丹波市・渓谷の岩上 2013.1/24)
  羽片は三角状卵形〜長卵状楕円形、有柄。

Fig.6 羽片の拡大。(兵庫県丹波市・渓谷の岩上 2013.1/24)
  裂片は卵状長楕円形、円頭〜鈍頭、全縁。先が褐色となる多細胞毛が顕著に見られる。

Fig.7 裏面。(兵庫県丹波市・渓谷の岩上 2013.1/24)
  ソーラスは裂片の脈上から中肋までつき、分岐して長く伸びるため、裂片の裏面いっぱいに広がって見える。
  画像の葉ではソーラスが伸びて、葉先の中軸にまでソーラスがついている。包膜はない。

生育環境と生態
Fig.8 蘚類に覆われた巨岩壁面に生育するカラクサシダ。(兵庫県丹波市・渓谷の岩上 2013.1/24)
渓谷にある巨岩がヒメシノブゴケやオオトラノオゴケといった大型の蘚類に覆われ、そこにカラクサシダが生育していた。
増水すると水没するような場所や中型シダの生えた上部には見られず、巨岩壁面の部分に葉をまばらに出していた。
記録地が少ないのは、コケシノブの仲間のように密に群生せず、コケに埋もれながら点々と葉を出して見つけにくいためだろう。
事実、ここで見つけることができたのは、コケの観察をしながら渓流を遡っていたからだ。

Fig.9 岩上の蘚類中に生育するカラクサシダ。(西宮市・岩上 2014.10/19)
川沿いの落葉広葉樹林中の流紋岩質の巨岩上にカラクサシダが生育していた。
同じ岩上にはオシャグジデンダ、トウゴクシダ、コモチマンネングサなどが生育していた。


最終更新日:12th.Feb. 2015

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