カラスノゴマ | Corchoropsis tomentosa (Thunb.) Makino | ||
里山・道端・崖地の植物 | シナノキ科 カラスノゴマ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・農道脇 2010.9/19) 農地の道端、ハゲ山の岩場や崖地などに生育する1年草。 茎は円くて直立し、星状毛があり、高さ30〜60cm。 葉は卵形で先はややとがり、基部は円形または切形、長さ2〜7cm、幅2〜4cm、鈍鋸歯があり、柄は長さ1〜2cm。 花は葉腋に1個つき黄色。花柄は長さ1.5〜3cm、萼片は線状披針形で長さ6〜8mm、先はとがり、反曲し、外面に星状毛がある。 花弁はふつう5個つき、ふつう倒卵形、長さ7〜10mm。雄蕊は5〜15個と一定しない。 雄蕊と子房の間には5個の仮雄蕊があり、線形で、雄蕊よりも長く、長さ7〜9mm、先は少し曲がる。 刮ハは長さ2.5〜3cm、幅約3mmで少し湾曲し、星状毛がある。 種子は卵形で長さ3mm以下、横に隆起線がある。 【メモ】 本種はナス科植物のように「いや地」を起こすため、一か所に長年生育せず、少しずつ移動しながら生育するという。 農道脇で見かけることが多いが、自然度の高いハゲ山にも見られ、本来の生育場所は被植の少ないハゲ山であったのかもしれない。 近縁種 : ■分布:本州(関東以西)、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国 ■生育環境:農地の道端、ハゲ山の岩場や崖地などの日当たり良い場所。 ■花期:8〜10月 |
||
↑Fig.2 茎、葉、花柄などには星状毛が多い。(兵庫県御津町・山腹の岩場 2011.11/10) |
||
↑Fig.3 葉。(兵庫県篠山市・農道脇 2010.9/19) 葉は互生し、卵形で先はややとがり、基部は円形または切形、鈍鋸歯がある。 |
||
↑Fig.4 開花期。(兵庫県篠山市・農道脇 2010.9/19) 花は径2cm足らずの黄色で、葉腋に1個ずつやや下向きにつき、盛夏から秋にかけて開花するが、暖地では11月にも開花が見られる。 |
||
↑Fig.5 花。(兵庫県篠山市・農道脇 2010.9/19) 花弁はふつう5個つき、ふつう倒卵形。雄蕊は5〜15個と一定しない。この花には11個の雄蕊があった。 雄蕊と子房の間には5個の仮雄蕊があり、線形で、雄蕊よりも長く、先はへら状となって少し曲がる。 雌蕊は仮雄蕊よりも少し短く、柱頭は3岐する。子房上位で、子房には毛がある。 |
||
↑Fig.6 横から見た花。(兵庫県御津町・山腹の岩場 2011.11/10) 萼片は5個で線状披針形、先はとがり、反曲し、外面に星状毛がある。 花柄は長く、糸状の3個の小苞がある。また、葉柄と花柄の基部には線形の托葉が見える。 |
||
↑Fig.7 未熟な果実をつけた草体。(兵庫県御津町・山腹の岩場 2011.11/10) |
||
↑Fig.8 結実期。(西宮市・林道脇 2011.11/9) 降霜があって落葉した草体に、熟した細長い刮ハが目立っていた。 |
||
↑Fig.9 刮ハ表面に見られた星状毛。(西宮市・林道脇 2011.11/9) |
||
↑Fig.10 刮ハの内部と種子の配列。(西宮市・林道脇 2011.11/9) 右側が刮ハの上端。刮ハは下側から3つの剳ミに分かれた。 種子は中央の軸の3方に、螺旋状に並んでついおり、剳ミの内側には隔壁が見える。 |
||
↑Fig.11 種子。(西宮市・林道脇 2011.11/9) 種子は栗褐色、卵形で長さ3mm以下、不連続な横の隆起線がある。 |
生育環境と生態 |
Fig.12 里山の農道脇に生育するカラスノゴマ。(兵庫県篠山市・農道脇 2010.9/19) 林縁のノイバラ、サルトリイバラ、スイカズラ、センニンソウなどからなる藪から農道への移行帯の草地に、小さな群落をつくっていた。 同所的にはワラビ、チカラシバ、ツユクサ、ゲンノショウコ、ヤワラスゲ、ヨメナ、ツルニガクサ、キツネノマゴが生育していた。 |
||
Fig.13 岩山の岩棚に生育するカラスノゴマ。(兵庫県御津町・山腹の岩場 2011.11/10) 兵庫県南部では、画像のような崖地やハゲ山でカラスノゴマを見かける機会も多い。 ここではアカマツ、コナラ、ウバメガシ、ネズなどの低木がまばらに生えた岩山に、オガルカヤ、ノガリヤス、ツルボ、ヤマラッキョウ、 ツクシハギ、テリハノイバラ、コナスビ、ノジギクなどとともに生育していた。 |