コバノミツバツツジ | Rhododendron reticulatum D. Don | ||
里山・雑木林・林縁の植物 | ツツジ科 ツツジ属 |
Fig.1 (西宮市・林縁 2008.4/8) |
||
Fig.2 (西宮市・林縁 2012.4/24) 丘陵〜山地、里山の林縁や雑木林に生育する落葉低木。 高さ1.5〜3m。若枝は淡褐色の長毛が密生するが、後に無毛となる。 葉は枝先に3個輪生し、葉柄は長さ3〜5mm、軟毛を密生する。 葉身はふつう卵状楕円形または卵円形であるが変化が多く、長さ3〜5cm、幅1.5〜3cm、中部の少し下でもっとも幅が広く、 縁に先が短い毛となる微小な鋸歯があり、先は短くとがって、先端に腺状突起があり、下部はしだいに狭くなって基部は鋭形または鈍形。 幼時は葉柄や葉の表面に淡褐色の長毛がやや密にあるが、成葉ではほとんど落ち、表面に腺点が散在し、裏面には短毛が全体に散在し、 主脈上にやや密生する。葉裏は網目状の脈が目立ち、網目の中は白味がかる。 春に、葉の展開前または展開と同時に、枝先の1個の花芽から1〜2個の花を開く。花芽は灰褐色のやや硬い毛が密生する。 花柄は長さ4〜5mm、灰褐色の毛が密生する。萼は小さな皿状で、灰褐色の毛を密生する。 花冠は紅紫色で上面内側に濃色の斑点があり、漏斗形で径約3cm、やや深く5中裂し、裂片は倒卵状長楕円形。 雄蕊は10個、長短があり、花糸は無毛。子房には長毛が密生し、花柱は無毛、まれに細毛が散生する。 刮ハはゆがんだ太い円筒形、長さ8〜12mm、褐色の剛毛またはやや縮れた灰白色の長毛が生える。 近縁種 : ユキグニミツバツツジ、トサノミツバツツジ、ダイセンミツバツツジ ■分布:本州(静岡県以西)、四国、九州 ■生育環境:里山の雑木林の林縁、疎林内など。 ■花期:3〜4月 |
||
↑Fig.3 樹皮。(西宮市・雑木林の林縁 2008.3/8) 樹皮は灰褐色を帯び、ほぼ平滑。 |
||
↑Fig.4 葉。(西宮市・雑木林の林縁 2008.4/27) 葉は枝先に3個輪生する。葉身はふつう卵状楕円形または卵円形であるが変化が多い。 葉幅は中部の少し下でもっとも広く、下部はしだいに狭くなって基部は鋭形または鈍形。 |
||
↑Fig.5 展開した若い葉。(西宮市・雑木林の林縁 2010.4/23) |
||
↑Fig.6 展葉と同時に開花した個体。(西宮市・雑木林の林縁 2010.4/23) 花は葉が展開する前か、あるいは展開と同時に開花する。 |
||
↑Fig.7 横から見た花。(西宮市・雑木林の林縁 2010.4/23) 花柄は長さ4〜5mm、灰褐色の毛が密生する。萼は小さな皿状で、灰褐色の毛を密生する。 |
||
↑Fig.8 正面から見た花。(西宮市・雑木林の林縁 2010.4/23) 花冠は紅紫色、漏斗形で径約3cm、やや深く5中裂し、裂片は倒卵状長楕円形。 雄蕊は10個、長短があり、花糸は無毛。子房には長毛が密生する。 |
||
↑Fig.9 満開の個体。(西宮市・雑木林の林縁 2010.4/23) 西宮市内の広田神社の群落は開花すると見事で、県指定の天然記念物となっている。 |
||
↑Fig.10 越冬芽(花芽)。(西宮市・雑木林の林縁 2011.2/25) 芽鱗の表面には灰褐色のやや硬い毛が密生する。 |
||
↑Fig.11 裂開後の刮ハとふくらみはじめた冬芽。(西宮市・雑木林の林縁 2011.3/8) |
生育環境と生態 |
Fig.12 里山の林縁で開花するコバノミツバツツジ。(西宮市・雑木林の林縁 2010.4/26) 遷移が進みつつある雑木林の林縁で開花している。このまま遷移がすすむと、いずれはコバノミツバツツジの勢力も衰えていくだろう。 |
||
Fig.13 溜池畔で開花したコバノミツバツツジ。(西宮市・雑木林の林縁 2010.4/26) |