コマツナギ | Indigofera pseudo-tinctoria Matsum. | ||
里山・草地の植物 | マメ科 コマツナギ属 |
Fig.1 (西宮市・用水路脇 2010.6/21) 海岸〜低山の草地に生育する草本状の低木。 茎はときにはい、斜上し、または立ち上がり、高さ90cmとなる。 葉は7〜11個の小葉があり、小葉は楕円形、長さ8〜25mm、幅5〜12mm、両面に伏毛がまばらにある。 托葉は微小で針状、早落性で、小托葉は宿存する。 総状花序は長さ4〜10cm、花はやや密につき、淡紅色〜白色で長さ約4mm。 萼は長さ約2mm、上部の裂片は萼筒とほぼ同長、下部のものは長く、狭3角形、長さ約1mm、白色の圧毛がある。 豆果はまっすぐな細い円筒形で、長さ2.5〜3cm、幅2.5〜3mm、茶褐色に熟し、短い圧毛がある。 種子は3〜8個で球形〜楕円形、赤褐色。 近縁種 : タイワンコマツナギ、トウコマツナギ、ナンバンコマツナギ、ニワフジ ■分布:本州、四国、九州 ・ 済州島、中国 ■生育環境:海岸〜低山の草地など。里山の草地土手に多い。 ■花期:6〜9月 |
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↑Fig.2 葉は奇数羽状複葉。(兵庫県篠山市・溜池土堤 2010.8/19) 葉は枝に互生してつき、楕円形の小葉を7〜11個持つ。 |
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↑Fig.3 葉軸と小葉。(兵庫県篠山市・溜池土堤 2010.8/19) 葉軸には圧毛が密生し、白味を帯びて見える。小葉の基部には宿存する針状の小托葉が見える。 小葉の先は円頭で、先端に小突起があり、中央脈、側脈ともにやや不明瞭で、縁には微短毛が生える。 小葉の両面には伏毛が生えるが画像のものからは解りにくい。 |
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↑Fig.4 花序。(西宮市・用水路脇 2010.6/21) 花序は総状花序で、互生する葉の腋につく。花序は下部から順次開花してゆく。 |
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↑Fig.5 花序の拡大。(西宮市・用水路脇 2010.6/21) 花はマメ科によく見られる蝶形花で、上側に広がった旗弁がよく目立つ。 |
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↑Fig.6 横から見た花とつぼみ。(兵庫県篠山市・溜池土堤 2010.8/19) 画像中もっとも大きな花は完全に開花する直前で、まだ下側につく舟(竜骨)弁が見えていない。 萼裂片は上部にあるものは萼筒とほぼ同長、下部のものは長い。萼にも花弁にも軟毛が生える。 |
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↑Fig.7 果実期のコマツナギ。(兵庫県たつの市・溜池土堤 2010.12/6) 冬間近、多くの葉を落とし、茶褐色に熟した豆果が目立っていた。 |
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↑Fig.8 豆果の拡大。(兵庫県たつの市・溜池土堤 2010.12/6) 豆果は細長い円柱形で、先はとがる。表面には茎と同様の伏毛がある。 |
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↑Fig.9 種子。(兵庫県たつの市・溜池土堤 2010.12/6) 熟す直前の種子。球形または楕円形で、熟すとさらに濃い赤褐色となる。 |
生育環境と生態 |
Fig.10 棚田の土手に生育するコマツナギ。(西宮市・棚田 2010.7/5) コマツナギは畦や草刈り管理された棚田の土手や農道脇などに多く見られる。 ここでは用水路脇の土手にチガヤ、ヒメシダ、ノイバラ、ノアザミ、ワレモコウ、オミナエシ、アオツヅラフジ、ナツフジ、ツクシハギなどとともに点在している。 画像下方の線形の葉は用水路内から生えているドジョウツナギのもの。 |
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Fig.11 用水路脇のシバ地に生育するコマツナギ。(西宮市・農道 2010.6/24) 画像上方にコマツナギが見えている。農道の横を用水路が流れ、付近のシバ地に生育している。 シバ地には刈り込まれたチガヤ、スギナ、チドメグサ、ウツボグサ、コモチマンネングサなどが生育している。 用水路の対岸は水田の畦となっており、画像に見えるチガヤ、ワレモコウ、カモジグサのほかヤブカンゾウ、オヘビイチゴなどに混じってコマツナギが見られた。 |
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Fig.12 溜池土堤下部の石垣の隙間に生育するコマツナギ。(西宮市・溜池土堤 2010.7/9) 溜池土堤全体にわたって点在しているが、下部の湿り気の多い場所にも生育が見られた。 ここではツリガネニンジン、アキノタムラソウ、アキノキリンソウ、ワレモコウ、ショウジョウスゲ、アオスゲ、イヌシダなどとともに見られた。 |
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Fig.13 シカの食害によって丸く刈られたコマツナギ。(兵庫県朝来市・林縁の土手 2011.6/19) コマツナギは草本状に見えるが、実は落葉小低木であり、経年した茎は木化し、シカはそのような硬い茎は食べ残す。 そのため、草刈りの行き届いた草地に見られるような地表をはうような姿とならず、丸くこんもりとした形となり、まるで盆栽のような姿となっている。 周辺にはシカの忌避植物であるタケニグサ、アケボノソウ、ダンドボロギク、オオバノイノモトソウやあまり好まないスゲ類やイグサなどが目立ち、 地表にはコナスビ、チドメグサ、ツメクサ、ネコノメソウなどのような地表に広がる小型の草本しか見られない。 |