コウヤボウキ | Pertya scandens (Thunb.) Sch. Bip. | ||
里山・林縁・疎林の植物 | キク科 コウヤボウキ属 |
Fig.1 (神戸市・林縁 2011.10/16) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・林縁草地 2011.10/23) 丘陵〜山地、里山の林縁、明るい疎林の林床などに生育する小低木。 枝はよく分枝し、高さ60〜100cm。当年枝は卵形の葉を互生し、先に頂生する頭花をつけ、ふつう上向きに咲く。 冬には落葉し、2年生の枝は各節に3〜5枚の細長い葉を束生する。葉は基部から3脈が出て圧毛がある。 頭花には13個内外の小花があり、長さ15mm。花冠は筒状で5裂し、白色または淡紅色。 痩果は長さ約5.5mmで、密に毛がある。冠毛の毛は細く、不同長でざらつく。 よく似たナガバノコウヤボウキ(P. glabrescens)は葉にほとんど毛がなく、2年生の枝の節の輪生する葉の中央に頭花がつく。 兵庫県下ではコウヤボウキよりもやや稀に見られ、花期はコウヤボウキよりも少し早く、コウヤボウキと混生していることが多い。 近縁種 : ナガバノコウヤボウキ ■分布:本州(関東以西)、四国、九州 ・ 中国 ■生育環境:丘陵〜山地、里山の林縁、疎林の林床など。 ■花期:9〜10月 |
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↑Fig.3 当年枝。(兵庫県篠山市・林縁草地 2011.10/23) 当年枝には卵形の葉が互生してつき、表面には曲がった毛が生えている。 |
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↑Fig.4 当年枝につく葉。(兵庫県篠山市・林縁草地 2011.10/23) 当年枝の葉は卵形で、表面には短毛が生え、先が短い刺状となる少数の鋸歯があり、葉柄はごく短い。 |
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↑Fig.5 当年枝と2年生の枝。(兵庫県三田市・林道脇 2011.10/13) 当年枝よりも下に見えているのが2年目の枝で、葉はより小さく細くなり、枝に輪生してつく。 コウヤボウキは2年生の枝には頭花はつけず、2年目の枝に頭花をつけるナガバノコウヤボキとの区別点となる。 |
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↑Fig.6 開花期。(兵庫県篠山市・林縁草地 2011.10/23) 開花期は9〜10月で、頭花は当年枝の枝先に単生する。 |
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↑Fig.7 雄性期の頭花。(兵庫県三田市・疎林の林床 2011.10/13) 総苞は細い鐘形。総苞片は5〜6列並び、長卵形、鋭頭、有毛。 頭花は全て両性の筒状花からなり、先はふつう5深裂し、裂片は反り返る。 筒状花からは雄蕊5個が合着した集約雄蕊が突出し、先から花粉を放出している。 筒状花の周りには毛状の冠毛が見える。 |
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↑Fig.8 雄性期から雌性期に移行する頭花。(兵庫県三田市・疎林の林床 2011.10/13) 雄性期の後、集約雄蕊の中央から先が少しふくらんだ花柱が伸び、柱頭が2裂して開く。 画像のものは花冠の半数が雄性期で、雌性期に移行しつつある状態である。 |
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↑Fig.9 冬期のコウヤボウキ。(兵庫県加西市・林道脇 2011.1/26) 痩果が熟すのは晩秋であるが、年を越して総苞が開ききっても多くの種子が残っている。 風の強いシーズンであるが、種子を少しずつ飛散させる戦略をとっているのだろう。 |
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↑Fig.10 冠毛をつけた痩果。(西宮市・林縁 2011.12/19) 痩果は長さ約5.5mmで、表面には数個の隆条があり、密に圧毛が生える。冠毛の毛は細く、不同長でざらつく。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 刈り込まれた林縁草地に生育するコウヤボウキ。(兵庫県篠山市・林縁草地 2011.10/23) コウヤボウキは雑木林の林床にも見られるが、より日当たりよい林縁に多く見られ、より多くの花をつける。 コナラ-アカマツ林の発達する貧栄養地に多いが、日当たりよく乾いた尾根筋では小型化して花数も少ない。 ここでは溜池と雑木林の境界にある草地斜面に多くの花をつけた個体が生育していた。 同所的には刈り込まれたヤマツツジ、ソヨゴ、ナツハゼなどの幼木、ススキ、ヨモギ、ママコナ、ワラビ、ツルリンドウ、サルトリイバラ、 シライトソウ、タツナミソウなどが生育している。 |