クジャクシダ Adiantum pedatum  L.
  山地・林床・岩上のシダ ホウライシダ科 ホウライシダ属
Fig.1 (西宮市・渓谷林縁 2011.7/16)
山地の林床や林縁、岩上に生育する夏緑性シダ。
根茎は短く匍匐し、径約2mm、鱗片をつけ、葉を叢生状につける。鱗片は披針形、全縁、茶褐色で単色。
葉柄は光沢があり、紫褐色から赤褐色、長さ15〜45cm、基部から相当上部まで鱗片はあるが、毛はない。
葉身は卵形〜ほぼ円形、無毛で薄い草質、長さ15〜25cm、幅15〜30cm、偽叉状に分岐して各枝の上側に単羽状の小羽片をつける。
小羽片は披針形、上部と下部でしだいに狭くなり、長さ10〜30cm、幅2〜3cm、柄があり、円頭。
小葉は半月状の長楕円形、上縁にはやや深い切れ込みがあり、基部は広いくさび形、短柄がある。
芽生えの時に紅色となることがある。
近縁種 : オキナワクジャク

■分布:北海道、本州、四国の一部、九州(福岡県) ・ 北アメリカ、アジア東部、ヒマラヤ
■生育環境:山地の林床や林縁、岩上など。

Fig.2 地上部標本。(西宮市・渓谷林縁 2011.7/16)
  葉柄は光沢があり、紫褐色から赤褐色。
  葉身は卵形〜ほぼ円形、無毛で薄い草質、偽叉状に分岐して各枝の上側に単羽状の小羽片をつける。

Fig.3 葉柄基部の鱗片。(西宮市・渓谷林縁 2011.7/16)
  鱗片は披針形、全縁、茶褐色で単色。

Fig.4 葉軸。(西宮市・渓谷林縁 2011.7/16)
  葉軸は細く、偽叉状に分枝し、紫褐色で美しく、分枝した各枝の上側に単羽状の小羽片をつける。

Fig.5 小羽片の一部拡大。(西宮市・渓谷林縁 2011.7/16)
  小羽片は半月状長楕円形の多数の小葉からなる。小葉の上縁にはやや深い切れ込みがあり、基部は広いくさび形、短柄がある。

Fig.6 小羽片の裏面。(西宮市・渓谷林縁 2011.7/16)
  胞子嚢群は小葉の上縁部につき、上縁の一部が反転して苞膜状となって覆う。

Fig.7 展開しつつある新葉。(兵庫県香美町・棚田の草地 2014.5/14)
  展葉時は赤味を帯びて美しい。

生育環境と生態
Fig.8 渓谷林縁の藪の中に生育するクジャクシダ。(西宮市・渓谷林縁 2011.7/16)
渓谷林縁の低木や草本の繁る斜面にかなり大きな株のクジャクシダが生育していた。
低木ではキブシ、ヤマアジサイ、ウツギ、タニウツギ、コゴメウツギ、ナワシログミ、イブキシモツケなどが見られ、草本ではヒメドコロ、コアカソ、
アオイスミレ、ヤブマメなどが、シダ類ではオオバノイノモトソウ、オクマワラビ、ヒメカナワラビ、フモトシダ、ヤブソテツなどが生育している。


最終更新日:25th.Feb.2017

<<<戻る TOPページ