クモキリソウ Liparis kumokiri  F.Maek.
  里山・林床の植物 ラン科 クモキリソウ属
Fig.1 (西宮市・雑木林の林床 2010.6/14)
丘陵〜山地、里山の林床に生育する多年草。
肥大した偽球茎から茎を出し、基部には葉がつく。
葉はふつう2個つき、長さ5〜12cm、幅2.5〜5cm、一般に大きく、鈍頭、網目模様は目立たない。
花茎は直立し、高さ10〜20cm、総状に5〜15花をつける。
花色は淡緑色、または黒褐色と変異がある。苞は卵状3角形で鈍頭、長さ1〜1.5mm。
萼片は狭長楕円形、鈍頭、長さ6〜7mm。側花弁は狭線形、鈍頭、萼片と同長。
唇弁は長さ5〜6mm、反曲し、くさび状倒卵形、中央に浅い溝があり、上端に狭い翼がつく。
近縁種 : コクラン、ジガバチソウ、スズムシソウ、セイタカスズムシソウ

■分布:南千島、北海道、本州、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島
■生育環境:丘陵〜山地の林床など。
■花期:6〜8月

Fig.2 葉。(西宮市・雑木林の林床 2010.6/14)
  葉はふつう2個つき、長さ5〜12cm、幅2.5〜5cm、一般に大きく、鈍頭、網目模様は目立たない。

Fig.3 花茎。(兵庫県三田市・雑木林の林床 2014.6/12)
  花茎には翼状の稜があり、稜上には小突起がまばらにある。

Fig.4 花序。(兵庫県三田市・雑木林の林床 2014.6/12)
  花序は総状に5〜15花つく。

Fig.5 横から見た花。(兵庫県三田市・雑木林の林床 2014.6/12)
  花柄(子房)の基部には小さな苞がある。花柄は180度捩れる。

Fig.6 花。(西宮市・雑木林の林床 2010.6/14)
  クモキリソウ属の花は奇妙な形をしていて、面白い。
  上に突き出ているのは背萼片。側方に縁が内巻きして出ているのは側萼片。
  側花弁2個は細く、線状の後方に反り返っているもので、まるで花弁のようには見えない。以前はこちらが側萼片であると思っていた。
  唇弁は最も大きく、くさび状倒卵形で大きく反り返って、先端が見えない。
  中央に立ち上がっているのは蕊柱、先のほうに黄色く見えているのは葯に収まっている花粉塊である。

Fig.7 果実形成期。(兵庫県篠山市・雑木林の林縁 2013.7/1)
  刮ハは上向きになって熟す。

生育環境と生態
Fig.8 雑木林の林床に生育するクモキリソウ。(西宮市・雑木林の林床 2010.6/14)
低山の雑木林の林床に見られるが、落ち葉が水分を保持しているようなかなり湿った林床でないと見られない。
ここでは20株程度が生育しており、うち2株は大きな株となっている。


最終更新日:16th.Nov.2014

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