マンサク | Hamamelis japonica Sieb. et Zucc. | ||
山地・渓流の植物 | マンサク科 マンサク属 |
Fig.1 (西宮市・渓流畔 2011.3/5) |
||
Fig.2 (西宮市・渓流畔 2007.3/9) 低山〜山地の渓流畔に多い落葉小高木。 若枝や葉柄には星状毛がやや密生する。葉柄は長さ5〜15mm。 葉は互生し、ややゆがんだ形の菱形状楕円形または倒卵形、鈍頭、基部は切り形またはわずかに心形となる。 葉身の長さ7〜12cm、幅5〜7cm、縁は上半は波状の鈍い鋸歯があり、下半は全縁、質は厚く上面は無毛、ややしわがあり、主脈と支脈は窪む。 葉裏は平滑で脈は隆起し、脈上には星状毛がある。 花は春に葉に先立って開花し、黄色で葉腋に単生または固まってつく。 萼片4個、卵形で反り返り、内面は無毛で暗紫色、外面には乳頭状の毛がある。 花弁は4個、線形、長さ1cm内外。雄蕊4個、非常に短い。子房は2個の花柱をもつ。 刮ハは卵状球形で、表面に細かい綿毛が密生し、2裂して種子を弾き飛ばす。 【メモ】 六甲山系ではマンサクの病気が流行っており、感染したものは元気がなく花数も少ない。 病原菌に対する耐性を獲得すれば心配はないが、このままではかなり減少してしまうと考えられる。 近縁種 : マルバマンサク、アテツマンサク ■分布:本州(主に太平洋側)、四国、九州 ■生育環境:低山〜山地の渓流畔など。 ■花期:3〜5月 |
||
↑Fig.3 樹皮。(西宮市・渓流畔 2011.3/5) 樹皮は灰色、横向きの皮目があり、所々に縦の細い割れ目がある。 |
||
↑Fig.4 若枝の星状毛。(西宮市・渓流畔 2010.5/16) 若枝には星状毛(白点状に見える)がやや密に生える。星状毛は葉柄や葉身中脈の基部にも見える。 |
||
↑Fig.5 葉。(西宮市・渓流畔 2010.5/16) 葉はややゆがんだ形の菱形状楕円形または倒卵形、鈍頭、基部は切り形またはわずかに心形。 葉縁は上半は波状の鈍い鋸歯があり、下半は全縁、質は厚く上面は無毛、ややしわがあり、主脈と支脈は窪む。 |
||
↑Fig.6 葉幅が広いもの。(西宮市・渓流畔 2010.5/16) 葉が卵円形で広いが、先はとがり気味でマルバマンサクとは異なる。 |
||
↑Fig.7 花の拡大。(西宮市・渓流畔 2009.3/18) 花弁は黄色で線形。所々で折れ跡が見えるが、つぼみの時に花弁が内巻きに折り畳まれて収納されていたため。 花弁の間からは反り返った暗紫色の萼片が見える。中央部には4個の雄蕊と、2個の花柱が見える。 |
||
↑Fig.8 花の中心部。(西宮市・渓流畔 2011.3/6) 2個の花柱は斜開し、雄蕊の花糸は内側に曲がる。葯室は2個。 |
||
↑Fig.9 刮ハの殻。(西宮市・渓流畔 2012.3/19) 刮ハは秋に熟して2裂して種子を弾きだす。画像は種子を出した後の殻で、表面には細かい綿毛が密生している。 また、萼片は刮ハの基部に宿存している。 |
||
↑Fig.10 越冬芽。(西宮市・渓流畔 2011.3/6) 越冬芽は裸芽で、星状毛に密に覆われて、鈍頭〜やや鋭頭、淡褐色〜灰褐色。 マンサクやマルバマンサクはウラクロシジミの食樹であり、分布域では越冬芽の基部付近に産卵された越冬卵を見ることがある。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 山腹で開花したマンサク。(西宮市・山腹 2011.3/5) 黄色い部分がマンサク。マンサクは湿った場所を好み、谷間の北向き斜面の山腹から渓流畔にかけて見られる。 手前はケヤマハンノキで砂防ダム内の湿地状の場所に生育している。 |