ミカエリソウ | Leucosceptrum stellipilum (Miq.) Kitam. et Murata |
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山地・林床の植物 | シソ科 テンニンソウ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・林縁 2013.10/15) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・林縁 2013.10/15) 低山〜山地の林床に生育する多年草。半低木で、地下茎を横走し、高さ40〜100cmとなる。 枝や葉面、花序には密に星状毛がある。葉は楕円形〜長楕円形、長さ10〜20cm、幅6〜12cm、鈍鋸歯があり、基部は円形〜くさび形。 花序は円柱状で直立し、長さ5〜18cm、若い時は扁円形で鱗片状の苞に被われる。 萼は筒状で短い5歯があり、花冠は筒状で萼より長く、長さ8〜10mm、淡紅色。 分果は3稜形でやや扁平な広いくさび形で、長さ3〜3.5mm、表面に腺点を散布する。 近縁種 : テンニンソウ ■分布:本州(福井県以西) ■生育環境:低山〜山地の林床など。 ■花期:9〜10月 |
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↑Fig.3 葉。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.7/31) 葉は楕円形〜長楕円形、長さ10〜20cm、幅6〜12cm、鈍鋸歯があり、基部は円形〜くさび形、1〜5cmの葉柄がある。 葉は画像左下のように、開花前から虫食いに遭っていることが多いが、食害している虫の正体は解らない。 昼間には食害の主を見ないので、夜行性のヤトウムシのような幼虫なのかもしれない。 |
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↑Fig.4 若い花序。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2013.9/8) 若い花序は扁円形で鱗片状の苞に被われ、最初は横を向いており、後にしだいに直立していく。 花序の柄は星状毛に密に覆われているため、白味を帯びて見える。 |
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↑Fig.5 開花中のミカエリソウ。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.10/10) 地下茎が横走して広がるので、林床で点々とパッチ状の小群落が点在していることが多い。 小群落ひとつが1個体であるため、最盛期は1週間ほどで終わってしまうことが多い。 |
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↑Fig.6 花序。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.10/10) 花序は直立し円柱状、花を密につけて下から咲き上がり、長さ5〜18cm。花冠は淡紅色。 |
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↑Fig.7 花序の拡大。(兵庫県篠山市・林縁 2013.10/15) つぼみは1個の苞に対して2〜3花が包まれている。花筒から紅色の雄蕊と雌蕊が飛び出して、良く目立つ。 開花が進むと、苞は脱落していく。 |
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↑Fig.8 花冠。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.10/10) 花冠は開口部がやや唇形となる筒状花で、長さ8〜10mm、上唇は先がやや窪み、下唇は3浅裂し、中裂片はわずかに大きい。 雄蕊4個、花筒か長く突き出し、下側の1対はやや長い。雌蕊は雌性期には雄蕊よりも長く、柱頭は2岐する。 |
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↑Fig.9 結実期の花序。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2014.11/14) |
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↑Fig.9 結実した分果。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.12/19) 結実期の分果は、萼筒の外に出ない。萼裂片は浅5裂する。 |
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↑Fig.10 分果。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.12/19) 分果はやや扁平な3稜形で広いくさび形、黄褐色、長さ3〜3.5mm。 |
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↑Fig.11 分果表面には腺点を散布する。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.12/19)
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生育環境と生態 |
Fig.12 植林地の林床で群生するミカエリソウ。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2016.10/10) シカ除け柵が設置されたシカの食害の及ばないスギ植林地の林床にミカエリソウの群落が見られた。 この地域ではかつてはこのような光景がふつうに見られたはずだが、柵の外に出るとこのような光景は見られない。 この植林地の林床ではイノデモドキ、アイアスカイノデ、サイゴクイノデ、リョウメンシダ、ジュウモンジシダ、ナンゴクナライシダ、ベニシダ、 イワガネゼンマイ、キヨスミヒメワラビ、シケチシダ、ヤマイヌワラビ、ヒロハイヌワラビ、タニイヌワラビ、オニヒカゲワラビ、オオヒメワラビ、 オオバノイノモトソウ、ミゾシダ、シシガシラなどの多様なシダ類、ミヤマカンズゲ、ニシノホンモンジスゲ、ナキリスゲ、ホウチャクソウ、ヤブラン、 ヤマジノホトトギス、ヤマミズ、ヤマトキホコリ、サンショウソウ、イヌショウマ、サラシナショウマ、セリバオウレン、ミヤマキケマン、セントウソウ、 ツルハコベ、チャルメルソウ、ミヤコアオイ、ヤマルリソウ、ハダカホウズキ、モミジガサなど、この地域の本来の植生が残っている。 |