ミシマサイコ | Bupleurum stenophyllum (Nakai) Kitag. | ||
草地・林縁の植物 環境省絶滅危惧U類(VU)・兵庫県RDB Cランク種 |
セリ科 ミシマサイコ属 |
Fig.1 (兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.10/10) 丘陵〜低山の林縁や草地などに生育する多年草。 根茎は黄色。茎は直立し、上部は枝を分け、硬く、高さ30〜90cm。全草ほぼ無毛。 葉は互生し、単葉で、長披針形〜線形、長さ4〜15cm、幅0.5〜1.5cmで、やや硬く、全縁、基部は細まる。 葉脈は平行し、根生葉ではしばしば長い柄がある。 花は複散形花序につき、総苞片や小総苞片は細くて短い。小花は黄色。花弁は5個、内側に曲がる。 果実は楕円形〜球形で無毛、熟すと褐色となり、油管は細い。 【メモ】 「花胡」や「柴胡」などで知られる薬用植物。草原の遷移により著しく減少している。 ■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島 ■生育環境:丘陵〜低山の林縁や草地など。 ■花期:8〜10月 |
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↑Fig.2 根生葉。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.10/10) 根生葉は束生し、線状披針形で、長い葉柄を持つものが多く、平行脈がよく目立つ。 多くの場合、開花期にも宿存し、長さは30cmに達することがある。 |
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↑Fig.3 根生葉の平行脈。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2014.10/1) |
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↑Fig.4 茎葉。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.10/10) 茎葉は互生し、単葉で、長披針形〜線形、やや硬く、全縁、基部は細まる。 |
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↑Fig.5 茎上部で枝を分ける。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.8/7) |
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↑Fig.6 茎上部の葉。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.8/7) 枝は葉腋から出て、分枝部の茎は多少とも屈曲する。 |
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↑Fig.7 各部の葉。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.8/7) 上から順に根生葉、茎中部の葉、茎上部の葉。 |
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↑Fig.8 花は複散形花序につく。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.10/10) |
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↑Fig.9 つぼみをつけた花序。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.8/7) 総苞片や小総苞片は細くて短く、小散形花序は少数で、3〜6個程度。 |
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↑Fig.10 開花した花序。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.10/10) 小散形花序につく小花は10個以内であることが多く、小花は黄色。 |
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↑Fig.11 花。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.10/10) 花弁は5個で、先は内側に巻く。雄蕊は5個。小花柄には開出毛がある。 |
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↑Fig.12 果実期。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.10/10) 果実は楕円形〜球形で無毛、熟すと褐色となる。 |
生育環境と生態 |
Fig.13 溜池土堤に生育するミシマサイコ。(兵庫県播磨地方・溜池土堤 2013.8/7) 草原環境が古くから維持されている場所は少なく、兵庫県内では溜池土堤やハゲ山などに自生地が残されている。 ここではネザサを主体とした草地に、ツクシハギ、刈り込まれたクヌギ低木、ススキ、トダシバ、メガルカヤ、ワラビ、ヨモギ、セイタカアワダチソウ、 コガンピ、キキョウ、オミナエシ、ワレモコウ、スズサイコなどとともに生育している。 ミシマサイコは高茎草本がまばらとなる土堤最上部と、草刈りの頻度の多い土堤最下部に点在していた。 |