ミヤマカタバミ Oxalis griffithii  Edgew. et Hook. fil.
  山地・林床の植物 カタバミ科 カタバミ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・スギ林 2013.4/9)
山地のスギ林やブナ林の林床に生育する多年草。
根茎は太く、密に古い葉柄に覆われ、分枝しない。葉柄、花茎、葉裏には密に軟毛がある。
葉は3小葉が輪生しているように見える3出掌状複葉。小葉は広倒心形で、幅2.5〜4cm、角は鈍端。
花は白色、径3〜4cmで、コミヤマカタバミよりも大きい。花弁はふつう5個、長楕円形、しばしば淡紫色の条線がある。
刮ハは楕円形、長さ10〜17mm、熟すと種子を弾き出す。花後、閉鎖花をつけて結実する。
花弁は紅色のものをベニバナミヤマカタバミ(var. rubriflora)とするが、稀である。
近縁種 : ベニバナミヤマカタバミ、オオヤマカタバミ、カントウミヤマカタバミ、コミヤマカタバミ

■分布:本州(東北南部以南)、四国 ・ 中国、ヒマラヤ
■生育環境:低山〜山地のスギやブナ林の林床。温帯域。
■花期:3〜4月

Fig.2 露出した根茎。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.2/8)
  根茎は太く、密に古い葉柄に覆われている。先端付近の葉柄の間に花芽が見えている。

Fig.3 葉。(兵庫県篠山市・社寺境内 2011.2/8)
  葉は3小葉が輪生しているように見える3出掌状複葉。小葉は広倒心形で、角は鈍端、常緑である。

Fig.4 開花中のミヤマカタバミ。(兵庫県丹波市・スギ林 2008.4/3)
  花弁はふつう5個、白色で長楕円形。花は高山に見られるコミヤマカタバミよりも大きい。
  花はよく晴れた日に、充分に陽光が当たらないと開花しない。

Fig.5 平開したミヤマカタバミの花。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.3/31)
  陽光のよくあたる場所に生育するものの花は平開する。

Fig.6 花の中心部。(兵庫県篠山市・水路脇 2011.4/1)
  雄蕊は10個、花糸は淡紅色を帯びている。柱頭5個、子房は黄色で5稜がある。

Fig.7 萼と花柄。(兵庫県篠山市・水路脇 2011.4/1)
  萼裂片は5個、卵状楕円形、鋭頭。辺縁は薄膜質で縁に細毛が生えている。花柄には上向きの伏毛が密に生えている。

Fig.8 正常花の刮ハ。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2013.5/22)
  刮ハは楕円形、長さ10〜17mm、熟すと種子を弾き出す。花後、閉鎖花をつけて結実する。

Fig.9 幼植物。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2015.4/28)
  双葉は広楕円形で先が凹む。本葉の第1葉の小葉は丸味を帯びている。

生育環境と生態
Fig.10 植林地の林床に群生するミヤマカタバミ。(兵庫県丹波市・植林地 2010.3/27)
被植の少ない植林地のやや湿った林床で群生している。付近にはサワギクやミヤマハコベが見られる程度である。

Fig.11 里山の渓流畔に生育するミヤマカタバミ。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.4/15)
山深い里山の渓流畔にミヤマカタバミが数多く生育していた。
同所的にヒメウズ、コチャルメルソウ、ヤブジラミ、ヤブニンジン、コガネネコノメソウ、ヤマネコノメソウ、スイバ、ヤブヘビイチゴ、
ダイコンソウ、オオバタネツケバナ、ニシノホンモンジスゲ、ベニシダ、ヤブソテツ(広義)、ジュウモンジシダ、キヅタなどが生育している。


最終更新日:22nd.June.2015

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