モロコシガヤ Sorghum nitidum  (Vahl) Pers.
   var.dichroanthum  (Steud.) Ohwi
  里山・草地の植物
  兵庫県RDB Cランク種
イネ科 モロコシ属
Fig.1 (兵庫県神戸市・溜池土堤 2011.9/25)

Fig.2 (兵庫県神戸市・溜池土堤 2014.10/27)

低地〜低山の里山の草地などに生育する多年草。
小さな株をつくり、高さ0.5〜1mになり、茎の節に白い長毛がある。葉は長さ30〜50cm、幅5〜10mm。
花序は高さ10〜20cm、各節の枝は細くて数個輪生し、長さ2〜6cm、その上端に長さ1〜1.5cmの総を1個つける。
総には数個の小穂と節間に赤褐色の毛がある。無柄小穂は広披針形で、鋭頭、長さ約5mm、黒褐色、革質で光沢がある。
護頴には長さ2〜2.5cmの芒がある。有柄小穂は雄性で、ときに短い芒がある。

セイバンモロコシS. halepense var. propinquum)は根茎で栄養繁殖もする繁殖力旺盛な外来種で、花序の枝は数回分枝する。
各地で帰化しており、河川敷や河川堤防など原野環境に多い。
近縁種 : セイバンモロコシ

■分布:本州(紀伊半島以西)、四国、九州 ・ 朝鮮半島南部、中国、インドネシア
■生育環境:里山の棚田の土手、溜池土堤などの草地。
■花期:8〜10月

Fig.3 全草標本。(兵庫県神戸市・溜池土堤 2011.9/25)

Fig.4 節と葉鞘。(兵庫県神戸市・溜池土堤 2011.9/25)
  節は多少肥厚し、白軟毛が密生する。葉鞘は縁が重合し、上向きの白軟毛が生える。

Fig.5 葉舌。(兵庫県神戸市・溜池土堤 2011.9/25)
  葉舌は厚膜質で、高さ2〜3mm、切形で、すぐ後ろの葉身表面基部から長さ5〜7mmの太い毛がまばらに生える。

Fig.6 花序。(兵庫県神戸市・溜池土堤 2011.9/25)
  花序は高さ10〜20cm、各節の枝は細くて数個輪生する。
  細い花序枝は標本にすると画像のように縮れたようになって絡み合うことが多い。

Fig.7 花序枝の先に単生する総。(兵庫県神戸市・溜池土堤 2011.9/25)
  花序枝は枝分かれせず、その先に総を1個つける。総には数個の小穂と節間に赤褐色の毛がある。

Fig.8 分解した総。(兵庫県神戸市・溜池土堤 2011.9/25)
  総には有柄小穂と無柄小穂が対になってつく。画像のものは3対、合計6個の小穂からなっている。

Fig.9 無柄小穂(左)と有柄小穂(右)。(兵庫県神戸市・溜池土堤 2011.9/25)
  無柄小穂は両性、広披針形で、鋭頭、長さ約5mm、黒褐色、革質で光沢があり、護頴には長さ2〜2.5cmの芒がある
  有柄小穂は雄性で、ときに短い芒がある。

生育環境と生態
Fig.10 溜池土堤に生育するモロコシガヤ。(兵庫県神戸市・溜池土堤 2011.9/25)
周辺部ではすでに耕作の行われていない高茎草本が茂る休耕田となっているが、モロコシガヤを含む稀少種の保護のため草刈り管理されている。
溜池土堤はネザサが優占し、モロコシガヤはトダシバやチガヤ、ススキ、ヒメヨモギなどとともに生育している。


最終更新日:4th.Nov.2014

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