ムヨウラン Lecanorchis japonica  Blume
  里山・林床の植物 兵庫県RDB Cランク種 ラン科 ムヨウラン属
Fig.1 (兵庫県篠山市・社寺林 2014.6/16)

常緑広葉樹林の林床に生育する無葉緑腐生植物。
茎は高さ30〜40cm、無毛、数個の鞘状葉をまばらにつける。
花は数個つき、長さ1.5〜2.1cm、筒状で平開しない。
花披片は倒披針形、唇弁も倒披針形で先端は3裂し、中裂片の内側には長毛が散生する。

【メモ】 本種は菌従属の腐生ランで、ベニタケ科のチチタケ属、ベニタケ属の菌糸を生きたまま取り込んでラン菌根を形成する。
     兵庫県で見られるのはほとんどムヨウランで、ホクリクムヨウランは過去に1例だけ記録があり、クロムヨウランは確認されていない。
近縁種 : ホクリクムヨウラン、クロムヨウラン、アワムヨウラン、キイムヨウラン、ウスギムヨウラン

■分布:本州、四国、九州
■生育環境:常緑広葉樹林の林床。
■花期:5〜6月

Fig.2 茎の鞘状葉。(兵庫県篠山市・社寺林 2013.6/17)
  葉は退化して、茎には鞘状葉が互生してまばらにつく。茎は細く、硬い。

Fig.3 つぼみの頃。(兵庫県篠山市・社寺林 2014.6/3)
  花は総状花序につき、小花柄の基部には鱗片状の苞葉がつく。

Fig.4 総状花序。(兵庫県篠山市・社寺林 2013.6/17)
  花序には数個の花がつき、下から開花していくが、平開しない。

Fig.5 花。(兵庫県篠山市・社寺林 2013.6/17)
  背萼片、側萼片ともに細長く披針形。花弁は閉じており、唇弁の状態がわからない。

Fig.6 同定するため、花を分解。(兵庫県篠山市・社寺林 2013.6/17)
  側花弁も披針形。唇弁と蕊柱の基部は合着していた。同定は唇弁の形態が重要となる。

Fig.7 唇弁中裂片の内側の毛。(兵庫県篠山市・社寺林 2013.6/17)
  ムヨウランの毛の表面には突起がない。ウスギムヨウランでは突起がある。

Fig.8 花粉塊。(兵庫県篠山市・社寺林 2013.6/17)
  卵形、長さは0.7mmと0.8mmだった。

Fig.9 刮ハ殻。(兵庫県篠山市・社寺林 2013.6/18)
  開花期、前年開花した花の刮ハはすでに裂けていた。表面は黒褐色で、強い光沢がある。
  この場所では昨年の花茎が3本見られたが、この年は1本も現れなかった。

生育環境と生態
Fig.10 照葉樹林内に生育するムヨウラン。(兵庫県篠山市・社寺林 2013.6/17)
薄暗い照葉樹林の林床に点々と生育しているが、まとまって生えていないので、周囲の環境を写し込めない。
周辺の植生は薄暗いためか、ショウジョウバカマ、ツルアリドオシ、ベニシダ、シシガシラが見られる程度だった。


最終更新日:15th.July.2014

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