ナンバンハコベ Silene baccifera  (L.) Roth
  var. japonica  (Miq.) H.Ohashi et H.Nakai
  低山・林縁の植物 ナデシコ科 ナンバンハコベ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・林縁 2015.9/14)

低山の林縁などに生育する多年草。
茎は長く伸び、長さ1.5m以上になり、細毛がある。
葉は広披針形〜卵形、長さ2〜5cm、幅1〜2.5cm、鋭頭、裏面と葉縁に毛があり、柄は長さ1〜4mm。
花は枝頂に単生し、横〜下を向く。萼は緑色で、5中裂し、長さ1〜1.2cm、裂片は長卵形で、鋭頭。
花弁は互いに離生し、下半部は細く、弦部はくさび形で2裂し、長さ約1.5cm。
刮ハは球状で、径6〜8mm。果床は長さ2.5〜3mm。種子は腎形、黒褐色〜黒色で、長さ約1.3mm。
近縁種 : 

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 中国、朝鮮半島、アムール、ウスリー、樺太、千島
■生育環境:山間の渓流畔など。温帯域。
■花期:7〜10月

Fig.2 茎は長く伸び、分枝して、他の草木の上を這う。(兵庫県篠山市・林縁 2014.7/31)

Fig.3 茎には細毛が生え、葉は対生する。(兵庫県篠山市・林縁 2014.7/31)

Fig.4 葉。(兵庫県篠山市・林縁 2014.8/29)
  葉は広披針形〜卵形、長さ2〜5cm、幅1〜2.5cm、鋭頭。中肋上に毛が見られた。

Fig.5 葉裏。(兵庫県篠山市・林縁 2014.8/29)
  葉裏の中肋に細毛が生え、葉縁に毛がある。葉柄は長さ1〜4mm。

Fig.6 開花したナンバンハコベ。花は枝頂に単生し、横〜下を向く。(兵庫県篠山市・林縁 2014.7/31)

Fig.7 萼。(兵庫県篠山市・林縁 2015.9/14)
  萼は緑色で、はじめ広い鐘形で、のちに半球形にふくらみ、上部はやや反曲して5中裂し、長さ1〜1.2cm。
  裂片は長卵形で、鋭頭、先端の背面には細毛が生える。

Fig.8 花。(兵庫県篠山市・林縁 2015.9/14)
  花弁は互いに離生し、下半部は細く、弦部はくさび形で2裂し、長さ約1.5cm。
  雄蕊は10個。花柱は3個。子房は1室。花を南蛮服の襟に見立てて「南蛮繁縷」となった。

Fig.9 花弁口部には1対の細裂した鱗片がある。(兵庫県篠山市・林縁 2015.9/14)

Fig.10 刮ハ。(兵庫県篠山市・林縁 2014.8/29)
  刮ハは球状、液果状で裂開せず、径6〜8mm、黒熟する。

Fig.11 切り開いた刮ハ。(兵庫県篠山市・林縁 2014.8/29)

Fig.11 種子。(兵庫県篠山市・林縁 2014.8/29)
  種子は腎形、光沢があり、黒褐色〜黒色で、長さ約1.3mm。

Fig.12 種子の拡大。(兵庫県篠山市・林縁 2014.8/29)

生育環境と生態
Fig.13 林縁に生育するナンバンハコベ。(兵庫県篠山市・林縁 2014.7/31)
小河川に面した林縁の斜面で、他の植物の上を這うようにナンバンハコベが生育していた。
斜面にはウツギ、タニウツギ、ノイバラなどの低木、カラムシ、コアカソ、シャガ、クサノオウなどが生育し、その上を這っている。


最終更新日:29th.Aug.2016

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