ネジバナ
 シロバナモジズリを含む
Spiranthes sinensis  (Pers.) Ames
   var. amoena  (M.Bieb.) H.Hara
  市街地・里山・草地・道端の植物 ラン科 ネジバナ属
Fig.1 (西宮市・棚田の畦 2010.7/5)

Fig.2 (兵庫県稲美町・溜池畔の湿地 2014.7/2)

低地〜高原の日当たり良い草地や芝地、畦、道端などに生育する多年草。乾燥地にも生えるが湿った草地を好む。
根は数個が紡錘状に肥厚する、茎は高さ10〜40cm、2〜3個の葉と少数の鱗片葉がある。
根生葉は数個、ふつう斜上し、広線形、鋭頭、長さ5〜20cm、幅3〜10mm、基部は鞘となる。鱗片葉は茎に圧着し、披針形。
花は淡紅色、らせん状にねじれた穂状花序につく。花序は有毛。苞は狭卵状披針形、長鋭尖頭、長さ4〜8mm。
萼片は披針形、長さ5mm。側花弁は萼片より少し短く、背萼片とともにかぶとをつくる。
唇弁は白色で倒卵形、鈍頭、萼片より少し長く、縁に細歯牙があり、先は反曲し、基部の両側に光沢のあるいぼがある。

白花品はシロバナモジズリ(f. albescens)、淡緑色の花を持つものはアオモジズリ(f. viridiflora)とされる。
シロバナモジズリはFig.10,11を参照。
■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 樺太、千島、ウスリー、朝鮮半島、中国(中部、東北部)、ヒマラヤ
■生育環境:低地〜高原の日当たり良い草地や芝地、畦、道端など。
■花期:5〜11月

Fig.3 根生葉。(自宅・園芸鉢内に自生 2010.7/2)
  根生葉は数個、ふつう斜上し、広線形、鋭頭。畦などでは草刈りのため、途中で切れていることが多い。

Fig.4 開花期のネジバナ。(西宮市・棚田の畦 2010.7/5)
  花は淡紅色、らせん状にねじれた穂状花序につく。花の色は紅色〜白色、ときに緑白色のものが見られる。

Fig.5 ネジバナの花。(西宮市・庭の芝地 2010.7/2)
  紅色を帯びた部分は背萼片と側萼片で、背面に細毛が生える。花弁は唇弁だけが見えており、縁の細歯牙が解る。
  自宅の庭の芝地に生えていることもあり、今後より詳しく花の構造をリポートしたいと思う。

Fig.6 結実した刮ハ。(兵庫県加東市・溜池土堤 2014.10/16)
  刮ハは卵形、熟すと隙間が空き、そこから小さな種子がこぼれる。

Fig.7 種子。(兵庫県加東市・溜池土堤 2014.10/16)
  種子は線形〜線状披針形、長さ約0.5mmで、光沢がある。

Fig.8 種子の拡大。(兵庫県加東市・溜池土堤 2014.10/16)
  表面には顕著な縦じわがある。左端には穴があり、ここから共生菌が入るのだろう。

Fig.9 常緑越冬する根生葉。(岡山県真庭市・溜池土堤 2010.12/2)
  越冬時の根生葉はロゼット状に地表に接して開き、楕円形〜長卵状披針形、厚いやや革質となり、鈍頭〜鋭頭。

Fig.10 ネジバナの白花品シロバナモジズリ(f. albescens)。(兵庫県稲美町・溜池畔の湿地 2014.7/2)

Fig.11 シロバナモジズリの花の拡大。(兵庫県稲美町・溜池畔の湿地 2014.7/2)

生育環境と生態
Fig.12 棚田の畦に生育するネジバナ。(西宮市・棚田の畦 2010.7/5)
チガヤ群落とヒメシダ群落が入り混じる、やや湿った棚田の畦に多くの個体が生育していた。
ネジバナは自然度の高い畦に最も多いが、雑草進入を防ぐためにシバが植栽された畦にも同程度に出現する。
ネジバナは草丈の低い日当たりよい湿った草地や半裸地状環境を好む。また乾燥にたいする耐性もかなり強い。
恐らくは、本来の生育環境は山火事が頻繁に起こる乾燥したハゲ山の小規模な崩壊(地すべり)湿地周辺だったのではないかと考えられる。

Fig.13 溜池畔の貧栄養湿地に生育するネジバナ。(西宮市・棚田の畦 2009.6/18)
表水があるようなミミカキグサやホザキノミミカキグサ、スイラン、マネキシンジュガヤ、コイヌノハナヒゲなどが生育するような貧栄養湿地に生育している。
ネジバナはこのような環境でもよく見られる。花茎をあげていないとサギソウの葉と間違えることもある。
ここでは盛夏の時期、サギソウやカキランとともに開花している。

Fig.14 自宅の芝地から鉢内に進入して開花したネジバナ。(西宮市・自宅庭 2010.7/2)
ネジバナは紡錘形の根に養分とともに水分を蓄え、乾燥した芝地にも適応してよく生育する。
自宅の庭にはよく共生菌が繁殖しているのか、ネジバナが点々と生育しており、ときに園芸鉢内にも自家受粉した種子が飛び込み発芽生育する。
この鉢はネジバナが進入して2年目になる。春先に開花する欧州原産のキク科植物の間にあっても違和感はない。


最終更新日:12th.Nov.2014

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